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2019/09/10

第6話

Ep.05【異形と交錯】




…いつかその質問をすると思っていた。







分かっていた。

分かっていた筈なのに。






あの少女の瞳を見て、いずれこうなる事は分かった筈なのに。

…………いや、最初にあの後ろ姿を見て本当は分かっていただろう。





小さくても分かる。あの背中は、




ノックス
ノックス
……パルス…
ノックス
ノックス
パルス=ナトラーヴァル………
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…パルス…?





俺はうなだれた。本当に俺は駄目な奴だ。

さっき誓ったばっかりじゃないか。それなのに。




ノックス
ノックス
それがお前の母親の名前だ。
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
………それだけ?


彼女の顔が曇った。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
____やっぱり、ノックスがお母さんを
ノックス
ノックス
違うッ!!!!!!!!!





アウラの言葉を遮った。聞きたくなかった。

彼女は先程より大きい声にビクッとなっていた。
ノックス
ノックス
____ッ


俺は今彼女に真実を伝えるべきなのか?全てを?

そんなのあまりにも酷だ。



嫌われてもいい。信頼を無くしたっていい。








ただ1つ、信じてほしいだけ。








ノックス
ノックス
………俺はお前を、守りたいんだ………
ノックス
ノックス
…これだけで…これだけでいいから…信じて…欲しい…………








俺は床に突っ伏した。頭を下げた。

床を涙で濡らした。




床が軽く軋む音がした。アウラが近づいてくるのが分かった。

俺は前を見なかった。見ることができなかった。





アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
………………ノックス
ノックス
ノックス
すまない…許してくれとは言わない………


俺は頭を下げたまま謝った。こうすることしか出来なかった。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
……ノックス
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
ノックス、頭を上げて
ノックス
ノックス
そんなことは出来ない…
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
お願い、上げて





真剣なその声に、俺はゆっくりと顔を上げた。






お互い、顔がぐしゃぐしゃだった。


ただアウラは俺を真っ直ぐな目で聞いた。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
喰べてないのなら、どうして「喰べてない」と否定しないの?
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
どうして「違う」としか、返さないの?
ノックス
ノックス
………………分からないんだ…
ノックス
ノックス
……今日ここに来る時にお前がいるのに気付いて、お前が、パルスの娘だって事……………すぐに気付いていたと思う。
ノックス
ノックス
そして助けたり、話をしたらこうなるって、分かってた筈だったんだ。
ノックス
ノックス
…………………俺の方が、整理がついていないんだ………
 




答えになっていない答えを返すと、アウラは後ろを振り返って





アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
………さっきは酷いこと言ってごめんなさい
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…信じたかったの……試すような真似して…ごめんなさい………




また震え出した声。


俺は、アウラの背中をさすって慰めてやることは出来ない。

言葉で慰めようとしても、言葉が見つからない。





なんて奴だ。


心底、自分が嫌いだ。





あの日、パルスを守れなかった様に、また守れないんだろうか。



中途半端に話して、俺はアウラに何を求めているんだ。

異形について教えて、余計に気にさせて、不安にさせて。



ノックス
ノックス
…アウラ
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
………なに?
ノックス
ノックス
…俺は、喰べてない。
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…知ってるよ、そんなこと。



アウラは笑って答えた。

ただその笑顔は、今にも崩れてしまいそうだった。






俺は廊下に出て扉にもたれかかった。




俺は守れるのだろうか。
けれど、やらなきゃいけなかった。






これ以上アウラが苦しむ必要はない。

これ以上アウラが知る必要は、ない。


何も知らないまま生きていってほしい。

何も知らないまま、俺を忘れてほしい。










そしてあわよくば、俺も消えてしまいたい。





もう全てを終わらせてしまいたい。

欲張りだろうか。




ノックス
ノックス
………パルス…






俺は無力だ。