第2話

Ep.01【少女と輝き】
38
2019/09/02 08:45
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作者から
※キャラデザは確定しておりますが、今現在下絵でのアイコンとなっております。
時間がある時に描き直したいと思っておりますがいつになるかは未定です。
なんとなくの人物のイメージを掴んで頂ければと思っております。御了承下さい。

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アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
ほんとにひとりで行くの?
大人達
お母さんに会いたいなら行かなきゃダメよ?会えなくていいの?
その森は大人は入れないの。



村の奥にある森への入口になる門の前に普段は絶対にできない人だかりができている。


小さな少女は囲まれた大人達に問う。


大人達
そうだ。俺らはその森に入って探せない。さあ行くんだ。



その言葉に口ごもる少女。


大人の足元の隙間から子ども達が笑っているのが見えた。
視線が合うと「ぎゃあ~~!!!!」と言いながら逃げてしまった。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
みんな言ってた、ここは異形がいるって………
大人達
でもアウラが探してやらないとお母さんは見つからないぞ?



少女は状況が飲み込めていなかった。


少女は生まれる前に父親が亡くなり、生まれてすぐ母親がいなくなったと聞いており、血の繋がりのない家で生活していたのに、今日の朝いきなり「門へ行くよ」と言われて連れてこられたのだ。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
なんで…なんでお母さんはこの森に入ったの?




その質問をすると彼らの動きがピタッと止まった。





大人達
……………………それは、お母さんに会ってから聞くといい
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…本当に、お母さんに会えるの?
大人達
ああ、会えるさ。
大人達
会えるわよ!
大人達
お前しか行けないんだ。
大人達
会えるよ。
大人達
大丈夫だって、会える。
大人達
行かなくちゃ会えないわ。



急に饒舌になる大人達。



アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
____っ
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
お、お母さんに会うためだもんね………
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
じゃ、じゃあ私…行く………


震える足を1歩ずつ確実に動かし、母のものだと聞いていたペンダントを握りしめる。


大人達
ああ、行ってきな。
大人達
行ってらっしゃい。
大人達
じゃあね、アウラ。

薄暗いそこは誰もいないことを伝えてくるが、しかし何かがいることも伝えてくる。


木々が生い茂り、どこまでも続く。







少女が森に入って数歩歩いたその時、
ギギィ、


重い音が響き少女が振り返ると、





門が閉められていた。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
____え?


木々に厚く覆われた森は門からの光を失うともう黄昏時のようだった。

そしてどこか不気味で、音が聞こえない。誰もいない。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
あ、開けてっ!!!開けて!!!!
思わず戻って門の扉を叩いた。反応がない。

少女はへたれこんだ。


薄暗い森。唯一聞こえたのは、
大人達
アウラなんて「輝き」って大層な名前貰ってもこの森の中じゃ輝けないね。
輝くには光が必要なんだから。


という扉の向こうから聞こえたある大人の声だった。





義母に教えて貰えず名前も知らない両親だったが、アウラは輝きという意味を持ち、両親で考えてくれて付けた名前ということは知っていた。
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
……なんで?
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…お母さんも、そうだったの…………?
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
お母さんも、本当にここにいるの?
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
わかんないよ……全部…
もう村の人達には頼れない。


少女は悟り、よろけるように立ち上がって森の中へ入っていった。

ぽろぽろを出てくる涙を拭いながらあてもなく歩く。もうまっすぐ歩けているのかも分からない。
景色がずっと同じ。門はもう見えていない。
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
助けて…お母さん……



頼れるのはもう母親しかいなかった。

育ててくれた血の繋がりのない義母も、本当の両親がいない少女に話しかけてくれたあの友達も。



今はもういない。

今頼れるのはこのペンダントだけだ。
そして歩く足を止める訳には行かなかった。
唯一の希望の母親を探さなければならなかったし、何より止まってしまうと自分を壊されてしまう気がしていた。



しばらく歩き続け、いつの間にか草が少女の腰程まで長くなっていた。
深くまで来てしまったのだろうか。

深くまで来てどうすれば良いのだろうか。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
なんで…お母さんは森に入らなきゃいけなかったんだろう……



純粋な疑問であった。疑問を解決する手段は勿論ない。

昔森について聞いたことがあった。
義母や義父にそれを聞くと一瞬空気が凍りつき、話をすっとすり替えられていた。

いつしか私も聞いてはいけない質問なのだと悟り聞くのを辞めていた。
何か、何かあるんだ。
その時少女がよろけた。



アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
____あ

目が霞んできている。足が痺れてきている。上手く歩けない。



______止まる訳には。



霞んだ目で前を向くとぼんやりとだが明るい場所が見えた。何故だろうか。
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
___ひかり…


少女の足はもうそこに向かっていた。ふらつきながら進んでいた。
長くて歩きづらくなった草をかき分けながら進んだ。少しずつ、本当に少しずつだが光が近くなっているのが分かる。
小さな足で光を目指すのは大変なんてものじゃなかったが、少女が今縋れるものはその光しかなかった。

そして、




少女はやっとの思いで光に辿り着いた。



アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
きり、株…?
そこは大木を2本切り倒し、上に覆っていた葉を切り落として光に満ち溢れていた場所だった。



その光は2つの切り株と、1つの墓石を照らしているように見えた。



アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
お墓……?名前がない…



墓石には名前が刻まれていなかった。人がいる気配がない割にはかなり綺麗だった。



アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
なんなんだろう…ここ……



少女はゆっくりと大きい方の切株に座った。光がとても暖かかった。心を癒してくれている気がした。
誰の気配も感じなかったこの森にしては【異様】だった。

墓石が綺麗なのもそうだが、何も無く、不安と暗さで溢れていた森の中で墓石と切株が照らされているこの光景が。



アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
どうせもう動く気力なんてどこにもない…



さっきから目が霞んでいたし、足も痺れて歩くのが辛い。少女はその切株で横になった。

少女が横になるには十分の大きさだった。




アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
異形様と…崇めていた人もいたけれど……なんなの…かな…
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
このまま私……異形にされちゃうのかな………




少女は目を閉じた。ペンダントを握りしめながら。




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