第5話

Ep.04【少女と交錯】
17
2019/09/01 09:55




「そろそろ家に向かおうか」と言ったノックスに私は後ろから着いていっていた。



本当に私を喰べるつもりはないらしい。回復までさせて今私が逃げようと思ったら逃げられる状態だし。






まあ、逃げても帰る場所なんて、ないんだけど。




ノックス
ノックス
…気分悪くなってないか


ノックスが前を向いたまま私に問いかけた。

アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
今はなんともない。足がちょっと痛いけど。
ノックス
ノックス
………………そうか


改めて見ると彼はとても大きいと感じた。本当に「壁」というのがぴったりなくらいに。

背中がとても広い。
薄汚れたワイシャツの裾が少しほつれていた。

よく見ると左側の角が少し欠けているように見える。


ノックス
ノックス
…ここに着いたのはたまたまなのか?
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
そうよ。とにかく歩いて目も霞んできた頃にぼんやりと光が見えたの。
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…行くしかなかった。
ノックス
ノックス
………そうか



5分ぐらい歩くと、大分古くなったと思われる木の家が突然現れた。



アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
……え、こんなのがあったの?
ノックス
ノックス
…知らない奴には見えないらしい。お前もこれからあそこからここが見えるようになる。
ノックス
ノックス
…とりあえず入れ。


ノックスが扉を開けて中へ通してくれた。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
ありがとう。もうこんな時間だったんだ
ノックス
ノックス
ここでは時間なんて適当だからな。
1日の合計の時間は同じでも昼と夜の時間が安定しない事がたまにある。
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…………へえ…聞いてる分には面白いのにな…


そう言って私は、居間のような所に通された。


ノックス
ノックス
色々古くてすまないな。座っていいぞ。
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…ううん、私こういう雰囲気、すきだよ



彼は私の後ろの壁に寄りかかって腕を組んでいた。ずっと何かを考え込む様に。


沈黙がしばらくの間続いていた。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…ねえ、の、ノックス?
ノックス
ノックス
…………どうした
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…聞きたいことがあるんだけど
 


さっきから、ぐちゃぐちゃだった。


目の前のことでいっぱいいっぱいで、混乱して、頭が回らなくて。


でもさっき歩いてる時に少し整理がついて、聞きたい事があった。






私はソファーから振り返って聞いた。

重くならないように、笑いながら、軽く。





アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
…生贄のしきたりは、なんで必要だったの?





涙が零れた。

だめだ。笑って、笑って。


じゃなきゃ信じられなくなっちゃう。




アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
お、お母さんも、生贄だったんでしょ?
声が震えた。


信じたい。私はノックスを信じたい。



だってノックスは私を助けてくれた。

私の周りに真実を話してくれる大人はいなかった。

でもノックスは話してくれた。

絶望の中から私に声をかけてくれた。

私をなるべく怖がらせない様に、距離をとりながら。









________でも、





アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
疑わずにはいられないの………!!!
ノックス
ノックス
……………………アウラ、



ノックスは私を止めようとした。でもそんなの気にしていられなかった。


アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
まだわかんないこととか、整理ついてないことが沢山でぐちゃぐちゃなんだけど、なんだけど……!




言いたくない。言いたくないけど。




アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
お母さんは…………………………喰べたの?
ノックス
ノックス
______!
ノックス
ノックス
ち、違ッ…!!!!



珍しく動揺するノックス。


手を伸ばそうとしてすぐに手を止め、引っ込めた。




アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
じゃあなんで私は喰べないの?お母さんを喰べた罪悪感か何か?
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
私の名前聞いたのってそういうことなんじゃないの?私がお母さんの娘だって確認したかったんじゃないの?どうして私が生贄だって分かったの?
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
私、お母さんここにいるって聞いたの。1度も会ったことない、名前も教えて貰えなかったお母さんに会いに来たの。
アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
でももうお母さんはいないんでしょ?お母さんは、ノックスに、
ノックス
ノックス
やめてくれッッ!!!!!




ノックスが叫んだ。




アウラ=ナトラーヴァル
アウラ=ナトラーヴァル
______私を、どうするつもりなの?











私、笑えてたかな。




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