次の日の夜、俺はいつもの溜まり場へと向かった。
バイクの音に気づいたのか、
着く前にもうしゅあがこっちを向いていた。
しゅあが少し心配そうに近寄ってきた。
安心させるようにしゅあにピースサインをだした。
そんな俺に安心したのかいつものように振る舞ってきた。
自分のバイクをいじっていたしゅあに、
地面に置いてあったバイクの鍵を拾い上げて渡した。
2人はそれぞれのバイクにまたがると、
爆音と共に走り出した。
プップププー !!
クラクションで遊んだり猛スピードで走ってみたり、
やりたい放題に走り回るのが楽しかった。
2人で走っているといつもはあまり通ることの無い、
住宅街に入り込んだ。
俺は思わずバイクを止めた。
先に走っていたしゅあが遠くから不思議そうにこっちを見ている。
クリスマス間近の住宅街は、
競い合うようなイルミネーションでキラキラと輝いていた。
思わず見とれてしまう。
そんな俺を見て、笑い声混じりのしゅあの声が聞こえてきた。
そう言って俺はまたエンジンをかけ走り出した。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。