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第6話

ごん狐 六
406
2020/05/28 09:00
 そのあくる日もごんは、栗をもって、兵十の家へ出かけました。兵十は物置でなわをなっていました。それでごんは家の裏口から、こっそり中へはいりました。

 そのとき兵十は、ふと顔をあげました。と狐が家の中へはいったではありませんか。こないだうなぎをぬすみやがったあのごん狐めが、またいたずらをしに来たな。
兵十
ようし。
 兵十は立ちあがって、納屋なやにかけてある火縄銃ひなわじゅうをとって、火薬をつめました。

 そして足音をしのばせてちかよって、今戸口を出ようとするごんを、ドンと、うちました。ごんは、ばたりとたおれました。兵十はかけよって来ました。家の中を見ると、土間どまに栗が、かためておいてあるのが目につきました。
兵十
おや
と兵十は、びっくりしてごんに目を落しました。
兵十
ごん、おまいだったのか。いつも栗をくれたのは
 ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。



 兵十は火縄銃をばたりと、とり落しました。青い煙が、まだ筒口つつぐちから細く出ていました。

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