第25話

支える
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2020/12/28 09:00
あなたside










伊吹さんが蒲郡さんと話している様子を、外から聞いている。
私や、志摩さん、刈谷さんに、他の捜査員の方も。












蒲郡〈志摩くん。あなたさん。他の刑事さんも。いますね、聞いてますね

逃げも隠れもしない。堀内を殺したのは俺だ。〉















耳に付けたワイヤレスイヤホンから聞こえる、伊吹さんの泣く声。

私と志摩さんは蒲郡さんの元へ向かった。








志摩「ガマさん。あなたは、人を殺しちゃいけなかった
全警察官と、伊吹の為に。」

蒲郡「あの子に、伊吹に伝えてくれないか
お前にできることは何もなかった。何もだ。」







蒲郡さんが連行された後、私は伊吹さんの所へ行こうとしたが、志摩さんに止められた。




志摩「ちょっとそっとしておこう。」

『はい、』

志摩「今回は助かった。少し無理させたけどあなたのおかげだ。ありがとう」

『いえ、お役に立てて良かったです。
でも、やっぱり伊吹さんが心配です、』

志摩「今回ばかりは、あいつもいつも通りに戻るには時間かかるかもな、」

『伊吹さんに無理して欲しくないです。』






伊吹さんが家から出てきて、3人でメロンパン号に乗り込む。
何を話すわけでもなく、志摩さんは伊吹さんの背中をポンポンと叩いた。

















午後9時。

志摩さんは伊吹さんを呼びに行くから、先にメロンパン号に行くようにと言われた。








少し、一段落した気がした

2人が戻ってくるまで、ベトナム語の本を開いて読む。



最近はこの本を読んでいる時間が、1番落ち着いたりする。









志摩「お待たせ、」

『いえ、』

伊吹「…ごめんね、2人とも。
俺が感情で蓋してなけりゃ、もっと早く事件解決できたのに、」

『伊吹さん、そんなこと思わないでください。大丈夫ですから。』

志摩「お前の成長のためだと思えば、なんてことない。」

伊吹「…ありがと、」










伊吹さん、これから大丈夫なのかな。少し心配だ。
でも、それは私と志摩さんで支えていくんだ。
志摩さんのことは、私と伊吹さんで支える。

3人で支え合って、これからも、走っていこう











その後朝の九時まで重点密行を終え、分駐所へ戻った。


陣馬さんと世人がいて、他の4機捜のメンバーもいた。


いつもと変わらない。
いつもと変わらないのに。





なんだか少しだけ、空気が重たく感じた。










仮眠を取ろうと、仮眠室へ向かう。
伊吹さんは屋上へ行った。志摩さんも仮眠はまだ取らない様子だ。







1人で、寝たくないんだけどな。
あの夢、また見てしまったら、近くに誰か居ないと、

怖い。









.
伊吹side






屋上で少しぼーっとしていて、仮眠は最低2時間は取らなきゃいけないから、
眠れそうにないけど、とりあえず仮眠室へ向かう。










ドアを開けようとすると、中からうめき声が聞こえた。









佐野「うぅっ、、はぁ、、」

『っ、あなたちゃん?あなたちゃん!』

佐野「っ!……いぶき、さん、」

『大丈夫?凄く魘されてたよ?』

佐野「ぁっ、ごめんなさい、、うるさかったですよね、」

『全然。俺も今から仮眠取ろうとして来たばっかり、』

佐野「今から、ですか?」

『うん。』

佐野「い、一緒に寝てください、っ、」

『え?』

佐野「また、夢見てしまいそうで、」

『うん。わかった。』









彼女を抱きしめるようにして眠りにつく。
その後何度か魘されていた彼女を起こし、結局2人ともあまり寝付けなかった。








あなたちゃんは、なんの夢を見てるんだ?

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