第7話

久々の
1,549
2020/11/03 09:00
九重side













久しぶりに、2人でいられる時間が出来た。
もう、数年ぶりだからなんか緊張する











今日は2人で海に来た
あなたの希望で。








『まだ写真撮るの好きだったんだ』

佐野「うん。ずっと好きだよ」








あなたは綺麗な景色を写真に納めるのが大好きだ

今日も昼間から、綺麗な海岸を写真に撮っては楽しそうに俺に見せてくれる。







懐かしいな、俺があなたを初めて恋愛感情で見た時も、彼女が写真を撮っている時だった。

あの横顔に惚れたんだっけな。





俺が先にこっちに来てから会えなくなって、
忙しい日々が続いたからあなたのこと考えてる暇なんて無かったけど
やっぱりあなたは今でも...




佐野「世人!見てー!」

『んー?』

佐野「懐かしいよね!この建物!」






そう言って見せてきた、俺らが昔住んでいた家を撮った写真だ。
隣の家だったから、建物が両方写るようにどうやったらいいかってすごく悩んでたっけ。








懐かしいなぁって笑うあなたは、とても近くにいる。
頭がくっつくくらい近くて。キスなんてしようと思えばすぐできる距離。




でも、そんなことしたらこの関係が壊れてしまいそうで怖かった。





佐野「世人、、?」

『っわ、ごめん、』

佐野「大丈夫、めっちゃ見られてたからなんか恥ずかしいんだけど!笑」








そう言って俺の肩をばしばし叩く。全然痛くないし。







佐野「お腹空いたー。ご飯食べに行こ?」

『そうだな』





彼女の手を握ると、びっくりして俺を見上げる








『ん?』

佐野「あ、いや、」

『何顔赤くしてんの。行くよ?』

佐野「うん//」







彼女の手を引いて、レストランへ向かった




ご飯を食べ終わり、服を見に行ったり、映画を見たり。




シンプルにデートみたいだ。







夕方あなたは、もう一度海へ行きたいと言った。夕日が撮りたいらしい。








夕方の海岸は、昼間とはまた違った美しさで、それと同じくらいあなたから醸し出される雰囲気も変わっていた。






ベンチに腰掛け2人で他愛もない話を続ける。








佐野「世人、最近は大丈夫?」

『ううん、寧ろ最近の方が多くなったかも』

佐野「そっか、相談乗ってあげられなくてごめん」

『謝らないで。会えてなかったし、お互い忙しかったから』

佐野「そうだね。でもやっと会えた!」

『会えて嬉しい』

佐野「私も」







あなたが心配してくれてるのは、
俺の父さんのこと。

昔から父のおかげで何でもできてきたって皆に思われてる。
小さい頃からコンプレックスで。
それを唯一相談できたのが、あなただった。



いつでも親身になって話聞いてくれて、俺のことも1人の人間として頼ってくれた。







やっぱりあなたは今でも、
俺の大切な人だ







何だか離したくなくて、あなたを抱きしめた







佐野「ちょ、世人//」

『なんか、懐かしいな。こうやって抱きしめ合ってるのも、昔は普通だった』

佐野「男らしくなったね。」

『ありがとう』







幼なじみの関係を言い訳に


この瞬間だけ、俺はあなたを腕の中で自分のものにした。

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