“ ねえ、連れ出してよ ”
そう私が言ったのがきっかけ 。
最初は彼も本気にはしてなかった 。
冗談キツイって丁重にお断りされた 。
でも今日 、私の家の窓から見えるところにだいきがいる 。
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“ どうしたの ? ”
“ 連れ出してって言ったろ ”
“ なんかイメージ違うんだけど ..... ”
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そう送ると、ジロっとこっちを見る 。
ふとした瞬間に連れ出して欲しいって 意味だったんだけど..... 、
まあこれもこれでいいのかな 。
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“ お迎えにあがりましたよ、プリンセス ”
“ 口で言って欲しかった ”
“ ほんっとお前ってわがまま ”
“ プリンセスはわがままなの ! ”
“ てか早く出てこいよ ”
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はいはい、って送って、こっそりと荷物を集め出す 。
私が連れ出してって言った理由は 単純で 、
仕事がどうしても辛くて 、だいきに当たっちゃって 、
そんな自分が本当に嫌で 。
癒しが欲しかった 。ただそれだけ 。
電気を消して 、鍵も閉めて 。
嫌な記憶はすべて置いて 。
だいきに手をぎゅっと握られて 、幸せな気分で歩き出す 。
ゆるふわの髪の毛 、甘い香水の香り 、そんなに高くない背丈 、
それに 、照れて真っ赤になってる耳 。
全部すきだよ 。
彼の背中に向かってそっと呟く 。
ずんずん進みながらそんな冗談をかましてくるだいき 。
スターが野宿って面白いと思うよ ?
元気に頷くと 、“ お前なあ、” って頭をぺしっと叩かれる 。
もちろん痛くなんかない 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。