第25話

25話
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2023/03/10 11:46
天side


ボクは陸が好きだ


初めは兄弟として好きだった

でもいつからか、陸に恋をし始めた


10歳、いや12歳ぐらいだったか


男が男を好きになる。ということに対して何も思ってなかった
でも、世間は違った
小学校の頃のクラスメイトに弟のことが好きだ、と話した

返ってきた返事は

「男が男を好きになるとかおかしいよ」
だった

ボクはその日から自分がおかしいんだと思い始めた
陸にはもちろん、両親にも言うことが出来なかった

陸は病気があるから、ストレスを感じて欲しくない。

陸が何かを言われて傷つくところを見たくない
好きになってごめんね。




毎日心の中で陸に謝った
そんなとき、両親の仕事がうまくいかず陸の治療費もいる中、九条さんが現れた
ボクは迷わずついて行った
両親を見て育ったボクは、ステージに立つことの素晴らしさを知るため。
そして何より陸のため
治療費だけでなく、距離を取るため
一緒にいたら好きなのに近くに行かなくて苦しくなる
それならいっそボクがどこかへ消えた方がいいはずなんだ





離れるとき、陸が発作を起こした




今すぐ陸のところへ駆け寄りたい
でも、無理だった。怖かったんだ






TRIGGERでデビューして楽と龍に出会えた
この3人だから、最高なんだと
それを考える間は陸のことを忘れることが出来た
でも、どうしても陸のことが頭に浮かぶ






陸はIDOLiSH7としてデビューした
あの楽屋挨拶に来た日
陸はボクを嫌っているようだ
.....良かった
本当は....悲しいなんて、陸が好きだなんて言える訳が無い
陸と小さい頃に交わしたあの約束はずっと、覚えているよ

同じアイドルとして活動しいても距離をとった








距離をとって、酷いことを言ってしまった
ものすごい罪悪感があった。でも

全部、陸のため、陸のため、と自分に言い聞かせた
正直ものすごくしんどかった







こんな悪夢から救ってくれたのは、メンバーでもファンでもない
陸だった







あの子がボクと同じ「好き」を持っていたんだ
嬉しくて
自分のことが許せなかった




でもこんな酷いことをしてしまったボクに陸は笑って許してくれたんだ
それどころか陸も謝ったんだ




ありがとう
許してくれて
酷いことをしてしまったボクを許してくれて本当にありがとう
胸を張って言えるよ


陸、大好きだよ

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