さくらside
ふと気がつくともう帰宅時間となっていた。
窓を見るとまだ雨は止んでおらずシトシトと降り続いていた。
もう少ししたら止むかもしれない、なんて確信のないことを思いながら図書室へ向かった。
雨の中外に出るのはゴメンなので図書室で勉強することにしたのだ。
ガラッと図書室の扉を開けると中はシンとしており、定期テスト前だからなのか生徒がいつもより多かったからか空いている席を見つけることが難しかった。
なんとか窓側の席を見つけそこへ座った。
窓側の席はあまり好きではないけど今回だけはラッキー、なんて思っちゃっている自分がいた。
だって、雨は嫌いだが止んだところを見計らって帰れると思ったからだ。
教科書をパラパラとめくり問題をとき始める。
周りからはくすくすと笑い声が聞こえたり、本をパラパラとめくる音が聞こえたり様々だった。
ノートにカリカリとペンをはしらせる。
すると私の座っている席の向かい側からガタッと椅子の引く音がした。
ふと顔を上げると2人の男子がいた。
前の席に座ったのは黒澤君と颯水君だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。