春輝side
今日は朝から大雨だった。
地面に激しく雨水が音を立てて次々と落ちてくる。
今日、オレはクラスでの日直があり早めに学校へ行き様々な準備をしなければならなかった。
一人で行ってもつまらないと思って真琴を誘った。
初めは嫌だと言っていたもののオレが粘ったら仕方なく、という感じで着いてきてくれた。
クラスへ荷物を置き職員室へ向かい先生にプリントとか沢山のものを渡された。
昇降口近くの廊下を2人で話しながら歩いていると前に女の子がいた。
真琴には悪いがオレは適当に返事を返した。
すると前の子がちらっとオレたちの方を見た。
オレは息が止まるかと思った。
あんなに可愛い子がうちの学校にいるんだな、と。
オレがちょっとの間見とれているとパッと前の方を向き早足で教室のある方向へと行ってしまった。
時が止まっていたような感覚に陥って居たけど彼女が居なくなってからハッと現実に引き戻された。
すると真琴は
あぁ、水瀬さんのことか??
と言いながら話し始めた。
どうやらさっきの子は水瀬さくらさんと言うらしい。
学校1美女ということで有名だと話された。ちなみに同じ学年で1年生。
オレら2人は1組だが水瀬さんは3組らしい。
落ち着いた性格だと真琴は話していた。
真琴はオレをジロジロと見ながら言ってくる。
言い返したくもなったが確かに真琴の言う通りでもあるのかもしれない。
教室に入り窓を開けたりしてみんなが来るのを待った。
でもオレは1つ引っかかることがあった。
ずっと、気になっていた。
彼氏でもないのになんでこんなにも水瀬さんのことを知っているのか。
前の席にいる真琴を突っついた。
オレは言葉に詰まった。
別に一目惚れなんてしてないと思う。嫉妬だってしてないだろう。
多分...。
徐々にクラスメイトが増えていき
HRが始まった。
外を見ると雨が大合唱を奏でていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!