第102話

すれ違う道の上で/mingyu
5,956
2022/01/15 10:21












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気がつけばもう日が暮れていた。





塾の自習スペースにはちらほらとしか

学生は残っていなかった。







受験生にとっては最後の山場といったところ


無論私も然り。











ノートを鞄に収めようと開いてみれば

彼に渡すはずだった缶コーヒーと小さなチョコレートが目に入った。








ああ、そうだ


昼間 彼に渡しそびれたんだった。




































me
ソクミンくん
me
あの、
dk
dk
ん?









彼の席の前に立つ私を見上げて

にこ、っと細まる目尻にきゅんとする。




同じクラスのソクミンくんは私の好きな人。





みんなに優しくて
かっこよくて面白いソクミンくん。


先生からも評価高いし

そりゃあもう人気者なわけで




他クラスの女子から

好意を寄せられていると聞いたこともある。








負け戦なのも分かってる。


でもやっぱり諦められない自分がいた。














me
これ…
dk
dk
あ、ごめん
先生に呼ばれちゃった
me
ほ、ほんとだ
行ってあげてㅎㅎ
dk
dk
うん
またね












差し出そうとした手は

彼の言葉を聞いて引っ込めた。





申し訳なさそうに眉を下げて謝って

教室を出ていく背中。







彼にとって私は

この先もきっとただのクラスメイトなのだろう。






































me
わぁ雪降ってるじゃん…







塾の窓から外を見れば

白くて小さい雪がふわふわと空を舞っていた。







帰りのバスまではまだあと20分もある。




仕方なくロビーの椅子に座った。


















me
どうしようかなぁこれ










手中には
渡すつもりだった缶コーヒー。






私はコーヒーが飲めないから

残ってしまってもどうしようも無い。








頑張って飲むか…

























mingyu
mingyu
それ飲めんの?
me
ひぇっ、!
me
ちょっと
居るなら言ってよ










缶を開けようとプルタブに指をかけた瞬間


隣の席に座ってきた友達のミンギュ。







ひょい、と

私が持っていた缶を奪っていった。















mingyu
mingyu
あなた飲めないじゃん
mingyu
mingyu
コーヒー
me
の、のめるもん
mingyu
mingyu
嘘だㅎ
me
嘘じゃないし
mingyu
mingyu
へぇ
俺も買ってこよっかな
me
…ならあげるよ








そう言うと
ニヤリと笑ってくるミンギュに腹が立つけど


こっちも飲んで貰えたら助かるから

ここは素直に渡すことにする。






缶を受け取って
嬉しそうに笑ってプルタブを開けた。













ミンギュのお陰で苦い思いをしなくてすんだ。


昼間のことも、コーヒーの味も。














me
これもどうぞ







差し出してきた手に

小さなチョコレートも乗せてあげた。























mingyu
mingyu
あー、なるほどな
me
え、なにが








チョコレートを見ながら

何か合点がいったように頷いたミンギュ。













mingyu
mingyu
いや
mingyu
mingyu
なんでもない
me
え?








大きな手が私の前髪に触れて

くしゃりと握られる。





突然のことに驚いて彼を見上げた。















mingyu
mingyu
ありがとな











なんだよ、ミンギュのくせに。





思わず涙が出そうになって前を向いた。












me
…うるさいな











もしも好きな人があなただったら


こんなに苦しい思いはしなかったのかな。












ぎゅうと締め付けられる胸が苦しい。




















me
ありがとミンギュ
mingyu
mingyu
んー











窓の外の雪はまだ止みそうもない。





















すれ違う道の上で

( あなたはきっと私に気づかないのだから )

























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とても余談ですが、

昨日推してる先輩にチョコタルトを作ったんですが忙しかったりなんなりで渡せなかったので

代わりに食べてもらいましたㅎ





勢いで捨てようか悩みましたが

タルトはまだ冷蔵庫にいます…






早く食べてあげよう…





















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