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私の家のソファで
ぐだぁとスマホをいじりながら呟くソア。
今は春休み真っ只中。
といっても毎日やることも無く、
スケジュール帳は「バイト」の文字で溢れている
あれからジョンハン先輩と頻繁に連絡をとっているみたいで、最近はよく2人で遊んでいるみたい。
ただ、先輩が春休みにバイトを詰め込んだらしく
なかなか会えないんだと嘆いてた。
積極的なソアが可愛くて、
ちょっと羨ましい。
ね?ね?
と私の顔を覗き込む。
あれからミンギュを避けてしまってるから
会うの気まずいけど。
ふんふんと鼻歌を歌いながらスマホを操作するソアから目を離して、手元のグラスを見つめながら口を開く。
カラン、
グラスの中の氷が崩れる。
じゃあ決まりね、
またスマホに向かう上機嫌のソアを横目に
溜息を零した。
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当日
昨日の夜はあまり眠れなくてちょっと寝不足。
楽しみとか、そういうんじゃないけど。
待ち合わせにはまだ時間がある。
気持ちいつもより丁寧にメイクをして服を選ぶ。
気合い入れてるわけじゃないけど まぁハンソルくんとかもいるし、
それなりの格好は しとかないとね。
最後にお気に入りの香水を振って家を出た。
待ち合わせは大学の前。
ミニスカートに白いブラウスを着た一段と可愛らしいソア。
…私ももっと可愛い格好しても良かったかな。
そんなことを考えていたら
目の前に少し大きめの車が止まった。
運転席に座るミンギュがハンドルに腕を置いてひらりと手を振る。
そして助手席には、
後ろのドアが開いて見えたのは
にこにこと手を上げるハンソルくんと、
目が合って にっと口角を上げる、
まるい眼鏡をかけた彼。
うそ、ミンギュ同じサークルだったの……
まさかのジョンハン先輩もいるみたい
乗る場所困る……
視線をめぐらせていたらウォヌさんと目が合って
ちょいちょいと私に向けて合図する。
こくこくと頷いて1番後ろのシート、
ウォヌさんの左隣に腰掛けた。
何故、そんなには君は
( これは偶然…? )
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!