第26話

鶴谷・乃愛ペア
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2022/04/19 08:00
周囲を見渡し、乃愛が口を開く。
「そろそろ始めますか」
鶴谷はああ、うん、と相槌を打つ。しかし、湯崎から目を離せない。
(いったい水瀬さんの前ではどう振舞っているのだろう?きっと俺には見せてくれないんだろうな…)
そんなことを考えながら、乃愛にキスをする。
乃愛は気持ち良さそうな声を上げていたが、鶴谷には響かなかった。
(そういえば誠と同じ匂いする…同じシャンプー使ってるのかな)
正直自分でも少しキモいと自覚していたが、それ以上に湯崎のことを考えてしまっていた。
そんな鶴谷に気付いたのか乃愛が不意に唇を外す。
「乃愛…?」
乃愛は無言のまま鶴谷を押し倒した。
「え?ちょっと、何して____」
そのまま鶴谷の肩にそっと甘噛みする。
「キスマーク!」
乃愛は微笑む。そして鶴谷の耳元で
「私をお兄ちゃんだと思って…?」
鶴谷は混乱する。バレていた……?いやありえない。外でそんなに誠とベタベタ絡んでいた記憶はないし…いや?あったか…?
そんな風に考えている内に乃愛は鶴谷のものに触れ、激しく舌を動かしていた。
「っん…」
鶴谷の呼吸も荒くなる。乃愛は同時に自分のものにも触れながら、淫らな格好になっていた。
「イく…っ」
鶴谷の白い体液が乃愛の服に付着する。
「へへ…いっぱい出ましたね」
その頃、乃愛も絶頂だったようで、お互い息を整えていた。
近くにいた先生が2人の様子を見て言いにくそうに
「よし…もう2人は帰っていいぞ。」
鶴谷と乃愛は制服を整える。そして帰り際、下駄箱の前に座り込んだ。
「…今日までありがとうな。なんだかんだ全部乃愛のおかげだったよ。ごめんな、頼りなくて」
しんみりとした表情を浮かべながら乃愛の顔を見る。
「良いんですよ。私も役に立てて嬉しかったし…それに…」

「先輩の好きな人も分かりましたし」

意地悪な笑みを浮かべる乃愛を見て、鶴谷の顔が真っ赤になる。
「お、おい…誰にも言うなよ、絶対だからな」
鶴谷は周囲を伺いながら小声で囁いた。
乃愛は立ち上がり、
「私たち…ライバル同志ですね…先輩には負けませんから!!」
「俺だって…譲る気なんかないから!」
目元をバチバチさせていると乃愛の友達が下駄箱にやって来た。
「乃愛ー!一緒に帰ろー!」
その声に乃愛は
「今行く〜!」
鶴谷に背を向け、友達の方に行く。その1歩手前で振り向いた。そして、「またね」と口パクで言いながら笑う。

鶴谷は今日は良い日だなと思った。

𝙉𝙚𝙭𝙩 .湯崎と水瀬は…

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