第13話

スマホと右腕
808
2020/03/19 01:56
 この変態は何を言っているか全くわからない。何?中二病なわけ?いや、自分のこと鬼とか頭おかしいんじゃないですか?
あなた

あなた何言ってるか全くわからない
鬼とか存在するわけないじゃない!
馬鹿なの?
幼稚園からやり直したら?

変態
フフフフ…
変態
鬼というのは
ずっと昔から存在するんだぜ?
あなた

はいはい。
平安の時代から空想上の化け物として
存在してますけど……。
実在するとか、あなた中二病?

 どうしてシェアハウスに来てさ、これから楽しい楽しい学校生活を送ろうってときに中二病で変態なおやじに絡まれるんだろう?ほんと、この小説の作者は変人なんだから!
 変態が私から離れる。
 なに?論破できたの?というか論破って言うほど話してないんだけど。
変態
鬼がいるっていう証拠を見せてやるよ
あなた

はいはい~
そんな面倒くさいことしてる時間は
無いのよねぇ。
こっちも忙しいの。
警察もうすぐ来るから待っててよね

 私は女のひとに駆け寄った。
あなた

あの、大丈夫ですか?

女の人
…………
 返事がない。
 気を失ってるのかな?……それってヤバくない?
 女のひとの顔を除き混んだ。
女の人
ハァハァハァ……
 その瞬間女のひとは苦しそうに肩で息をした。
あなた

お、落ち着いて!救急車……!

 そうだ、救急車を呼ぶのを忘れてた。
 スマホ……スマホ……。鞄のなかを漁る。スマホがない。スマホが……無い!
 なんで?こんな緊急事態にどっかやるってことある?さっきまで使ってたじゃん!
変態
スマホとやらはこれか?
あなた

あ、あんた!

 変態がスマホを持っていた。
 息が止まる。
 メキメキメキと音がなり、スマホが真っ二つになる。もう、使えない。
 背筋が凍る。頭が真っ白になって動けない。
 スマホ……折られた……。こんなことある?
 そのスマホ……。大事なのに……。
 スマホ依存症とかじゃなくて、死んだお母さんとお父さん、前の学校の友達やもう辞めちゃったけど塾の友達との写真が入ってたのに。まだギャラリーに残ってたのに……。友達と撮った動画なんかも入ってるのに……。
 こんなの人間のすることじゃない!
あなた

返してよ……データ!!

 私は走った。変態の元へ。
 スマホを片手で真っ二つにしちゃうような奴に私が勝てるわけない。すぐにでも殴られて死んじゃう。そんなの分かってる。でも、一発でもパンチでもキックでもしないと気がすまない。腹が立つ。煮えくり返った腹が収まらない。
 もうすぐ警察が来る。もし、殴ったのがバレたらわたしも捕まる。でも、いいや。どうせ、こんな人生いらないや。お父さんとお母さんがいない人生……!
 変態を殴ろうとした右腕がピタリと止まる。
あなた

……え

 なんで……?なんで……。


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炭治郎
あなた、ダメだよ殴っちゃ

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