この変態は何を言っているか全くわからない。何?中二病なわけ?いや、自分のこと鬼とか頭おかしいんじゃないですか?
どうしてシェアハウスに来てさ、これから楽しい楽しい学校生活を送ろうってときに中二病で変態なおやじに絡まれるんだろう?ほんと、この小説の作者は変人なんだから!
変態が私から離れる。
なに?論破できたの?というか論破って言うほど話してないんだけど。
私は女のひとに駆け寄った。
返事がない。
気を失ってるのかな?……それってヤバくない?
女のひとの顔を除き混んだ。
その瞬間女のひとは苦しそうに肩で息をした。
そうだ、救急車を呼ぶのを忘れてた。
スマホ……スマホ……。鞄のなかを漁る。スマホがない。スマホが……無い!
なんで?こんな緊急事態にどっかやるってことある?さっきまで使ってたじゃん!
変態がスマホを持っていた。
息が止まる。
メキメキメキと音がなり、スマホが真っ二つになる。もう、使えない。
背筋が凍る。頭が真っ白になって動けない。
スマホ……折られた……。こんなことある?
そのスマホ……。大事なのに……。
スマホ依存症とかじゃなくて、死んだお母さんとお父さん、前の学校の友達やもう辞めちゃったけど塾の友達との写真が入ってたのに。まだギャラリーに残ってたのに……。友達と撮った動画なんかも入ってるのに……。
こんなの人間のすることじゃない!
私は走った。変態の元へ。
スマホを片手で真っ二つにしちゃうような奴に私が勝てるわけない。すぐにでも殴られて死んじゃう。そんなの分かってる。でも、一発でもパンチでもキックでもしないと気がすまない。腹が立つ。煮えくり返った腹が収まらない。
もうすぐ警察が来る。もし、殴ったのがバレたらわたしも捕まる。でも、いいや。どうせ、こんな人生いらないや。お父さんとお母さんがいない人生……!
変態を殴ろうとした右腕がピタリと止まる。
なんで……?なんで……。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!