第41話

恋の行方~やまとside~
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2022/07/04 01:00
生徒
さあさあ!!!
生徒
続いてのステージは皆さんお待ちかね!!










生徒
2年3組企画、ドキドキの告白ステージでーすっ!!




























やまと
やまと
(…………ついに来た)












長きに渡り開催されているこの文化祭。ようやく自分達の企画した出し物の時間になり、一日目の終盤にも差し掛かっているこの場には期待とともに多くの人が集まっている。


















そして、俺はここが今日最大の重要な場面。









































俺は、






























──────ここで優太先生に、告白されたい。











































ひゅうが
ひゅうが
いや、無理だろ。
あむぎり
あむぎり
うん、無理だね。
 


やまと
やまと
っはぁ?おい!!現実見せんなよ!

…てか俺の妄想の中入ってくんなっ!
ひゅうが
ひゅうが
まあまあ 笑

まず誰が公の場で先生が生徒に告白するかよ笑

やまと
やまと
っ…まあそうだけど、っ、
ひゅうが
ひゅうが
ここでは流石に諦めろ。笑
やまと
やまと
……………。






















やまと
やまと
……………分かっ、てるよ…




























________まあ確かに、普通に考えて無理な話だ。もしここで堂々と言える状況なら俺がとっくに言いふらしてる。













それくらい好きだから、だからこそこうして無理な望みをかけてしまうのだ。






















やまと
やまと
…………。




























あ〜、いいなぁ〜あの人たち。




















────眺めているのは今ステージに立っている男女2人。男の方が大きな声で気持ちを伝え、女性に向かって手を差し出し頭を下げている。そして後に女子生徒はその手を取り、案の定この場は大盛り上がりとなった。この企画1番の醍醐味だ。




















俺もあんな風に祝福されたいなぁ〜。笑















_______教師と生徒。この関係な以上、ああして祝福される事は少ない。むしろ批判されてしまう可能性も大いにある訳だ。




















やまと
やまと
はぁ〜〜…………
やまと
やまと
…つまんないし、抜け出して違うとこ行こっかなぁ〜、


























































ひゅうが
ひゅうが
あ、あれ優太先生じゃね?








































やまと
やまと
……………え?

























──────主に進行を進めてくれるのは他のクラスメイトで、俺達はその盛り上げ役。俺にとっての進展の見込みはないことに退屈さを感じ、ちょっと抜け出そうかと悩んでいた時。彪雅が急に声を上げた。






































まさかと思ってステージを見ると、照明に照らされるステージ上には優太先生の姿があった。





















やまと
やまと
っ……!











一気に気持ちが浮上し鼓動が速くなる。

……………もしかしたら、なんて。











































────────だが。

































やまと
やまと
……………え、













やっぱり現実は甘くなかったようだ。

































生徒
さあさあ続いては!
生徒
まさかの禁断の恋!?

生徒から先生への告白です!!

















──────優太先生は、告白する目的でステージにいたんじゃない。告白される側の立ち位置だった。
そしてそれも、女子生徒に。








































やまと
やまと
………なんで、
ひゅうが
ひゅうが
……っ見とけって大飛!大丈夫だぞ!
ひゅうが
ひゅうが
これ、実際……
やまと
やまと
っ、ごめんちょっと外出るわ、
ひゅうが
ひゅうが
…ちょ、おい大飛!
















































やまと
やまと
…………っ、






























──────分かってる。別に優太先生が他の人に告白する訳じゃないんだから、ここまで嫉妬しなくても良いって。












でも、だったら俺でも良かったじゃんか。






男同士だというのが大きな壁を隔てているのは分かっているけどやっぱり嫌で、他の生徒がこうして盛り上がっているのを見ていたくなくて、姿を消すようにしてそのままこの場を抜けた。

























─────────────────────────




















やまと
やまと
………………。







うちのクラスの企画中も、他の場所で行われている物は沢山ある。体育館を出て、行くあてもなく周りをうろうろとしていると。

































3年生
ねぇねぇ君!暇ならうちの店来ない?!
やまと
やまと
…………え?
3年生
今空いてんだよね〜!来てきて!






呼び込みに来たのは3年生の先輩。
看板を見る限り、この店はメイド喫茶なるものなんだろう。現にめちゃめちゃメイド服だし、この人達。


































やまと
やまと
……ちょっとだけいこーかな、
3年生
やった!!じゃあ行こいこ!












正直全くの興味は無いけれど、しばらく行くあてもなかったところだし、……………どうせ先生いないし。








半ばやけくそになって、首を縦に振った。





















─────────────────────────


























やまと
やまと
……………。
3年生
おーい、大丈夫〜?
やまと
やまと
…………大丈夫です、
3年生
なんか元気なくない?なんかあったの?









やまと
やまと
………まあ、笑



3年生
………あれ、この感じ、恋の相談ー?!笑
3年生
それなら先輩達に任せなさいっ!
やまと
やまと
………え、笑
3年生
きっとそうでしょ?笑











やまと
やまと
…………ま、あ 笑











席に通されると、急に始まった恋愛相談。












だけど、たまには第三者の意見を聞いてみたいという気持ちもあったので名前は伏せて話すことにした。


























やまと
やまと
…………付き合ってはないんだけど、両思い…の人がいる、んですけど、
3年生
うんうん
やまと
やまと
俺は今すぐにでも付き合いたいって思ってるけど、それは無理で、
3年生
うん、
やまと
やまと
ただえさえ悩んでたのに、その人さっき他の人に告白されてて、それに嫉妬して………
3年生
………なるほど?それでその人はなんて返事してたの?
やまと
やまと
……ぁ、えっと、…


















やまと
やまと
………………。

























やまと
やまと
………聞かずに逃げてきちゃった、



3年生
えぇ両思いなんでしょ?それなら絶対大丈夫なんだから自信持ちなさい!
3年生
私だったら牽制しに行くけどね普通に。笑
やまと
やまと
まじ、すか、笑
やまと
やまと
…ありがとうございます、




















やまと
やまと
……………あ、じゃああとこれも聞いて欲しいんすけど…
3年生
どんどん相談しなさい!笑













先輩方の恋愛経験に圧倒されつつも、元気づけてもらう気持ちで聞いていた。




































やまと
やまと
⋯で、それで………




生徒
 いや〜さっきの告白ステージめっちゃ良かったよね〜
生徒
それな!!
やまと
やまと
………、






──────しばらくして、どこからか微かに聞こえてきたのは告白ステージの話題。もう全てのプログラムを終えたところらしい。


































最初は何となく、どんな感想かな〜みたいな気持ちで軽く耳を傾けてたんだけど。


























女性
ね〜ね〜!さっきの凄かったよね!生徒から先生に告白ってやつ!
女性
ほんとねー!少女漫画みたい。笑
やまと
やまと
っ………















________ここからはもう、こちらの会話にしか意識が向かなかった。






































女性
ほんと、めっちゃ凄かったしキュンキュンした。
やまと
やまと
!?、















背後で繰り広げられる会話に必死についていこうとその意味を噛み砕くも、いまいち理解が追いつかない。
恐らく今の話題は、先程まで俺が返事を聞かずに逃げてきた優太先生の告白ステージでの事だろう。










_________ただ、キュンキュンしたってなに?凄かったって何?


………………まさか先生、OKとかしてないよね?そんな訳ないよね?だって両思いなの、俺のはず…なのに。、



だけど、もし断ってたらキュンとかしないだろ普通に。



























あの空気感に断れなかった、とか?






































やまと
やまと
………。













3年生
えぇ、!?なんで急にそんな悲しそうなの!何があったの!?
やまと
やまと
…………。
3年生
ほんとどーしたの!!?










やまと
やまと
ゆ、た…せんせ…い、
3年生
…………え??
















ここじゃダメだ、と溢れそうになる涙を必死にこらえる。





























嫌だ、優太先生。
他の人んとこ、行かないで。____________



















































ゆうた
ゆうた
……大飛!
やまと
やまと
っ、!?








想いが溢れこの場の喧騒に紛れるようにして彼の名前を呟いた時、目の前に現れたのは本物の優太先生。





















3年生
…………あれ、優太先生じゃん!どーしたん急に?
ゆうた
ゆうた
…………悪い、ちょっとこいつ貰ってっていいか?
3年生
…え、全然いーけど、……?
ゆうた
ゆうた
ありがと、じゃあまた。
やまと
やまと
っ、え、ちょせんせ、
ゆうた
ゆうた
来て大飛。













──────急に先生に手を引かれ、理解がまるで追いつかないまま慌てて先輩方にお礼を言って教室を出た。





















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