約1ヶ月以上空いて本当にすいません🙇♂️
お待たせ致しました😌
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こうして俺が呼ぶ時は大抵が相談事というのを彪雅は知っていて、またかと呆れるようにしながら答えた。
確かに、これは日常茶飯事。
だけど俺は、今相当深刻な問題を抱えているのだ。
──────今日一日の俺の感情は、最高潮から最低までと天地の差での往復を続けていた。もちろん最高潮は、あの文化祭を思い出す度に訪れるのだけど。
だけど、お昼をすぎたあたりである今は、まさに「最低」。
それは何故か、彪雅に言った通り先生に避けられているからだ。傍から見たらあまり変化はないように思えるだろうが、俺からしたら一目瞭然。思いが通じあってからは見たことがなかったその距離に思い悩み、結果的にここまで気分が落ちているという訳だ。
今日は彪雅が珍しく話に応じてくれないので、ターゲットをあつきへと切り替えた。だがそんなあつきを探すため教室を見渡すと、教卓のそばにはあっちゃんともう一人、話題の優太先生が。
そしてこの流れだったらもしかしてと一片の望みをかけてそちらへ向かったのだが。
俺は、あっちゃんにも同様に悩みを話した。
あっちゃんも朝までの俺のテンションを見ていたので、やはりそんな事になっているとは思わなかったようだ。まあそりゃそうだよな、俺だってそう思ってんだもん。
あつきから提案されたのは、押してダメなら引いてみる作戦。
でもそれって俺が優太先生から距離を置くってこと?普通に無理だろそんなの。本当だったらずっとくっついていたいぐらいなのに。
だがそんな思いも虚しく、先生との距離はいまだ縮まらず。そしてあつき曰く、距離を置いてみるという方法が今すべき最善らしい。
経験少ないあっちゃんに言われてもな…なんて強がるが、これで仲直り出来るなら致し方ないかと渋々受け入れることにした。
……いやまあ喧嘩した覚えは一切ないけどね。?
こうして俺は、今にも彼の元へと勝手に向かっていきそうな足を何とか抑えながら、死ぬ気で優太先生から離れるよう努めた。
だが。___________
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押してダメなら引いてみる作戦。_______
結果、効果は全然無し。あるどころかより先生と話す時間が減ってしまっている現状だった。
やっぱり彪雅は最高な奴だ。面倒くさそうにしながらも、いつもしっかり悩みを聞いてアドバイスをくれる。
奢るまでがワンセットだけどね。
───今はちょうど休みの時間帯。俺は彪雅と話したあと、そのまま保健室へ足を進めた。
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ドアの前にある''先生不在''と書かれた札を横目で見ながら保健室に入り全体を見渡すと、いつか見たようにカーテンが閉ざされているベッドがあった。恐らくあれが優太先生。…保健室だったら逃げられることもないし、絶対仲直りしてやる。……いやまあ、喧嘩したつもりは無いんだけどね?(2回目)
────グイッ
───────カーテンをそっと開け先生の名を呼ぶと、それと同時に中から伸びてきたであろう手に勢いよく腕を引かれる。俺は踏ん張ることも出来ずにそのままベッドへと倒れ込んだ。
開けた時にふわっと漂った嗅ぎ慣れた匂いからして、ここにいるのは優太先生。だがそれを完璧に把握できない程に、今俺の視界は真っ暗だった。
先生に、抱きしめられてる?____________
頭がまったく追いつかないまま、密閉されたこのカーテンの中の空間だけ甘い空気が漂う。
一体何が起きているのだろう。
どんどん語られていく、知らなかった先生の気持ちに顔が熱くなるのを感じる。
そんなの俺だって。______________
──────ガラッ
………………やばい、これは。
____もしかして『保健室遭遇イベント』的な?
好きな人と保健室で二人きり、そこへ人が来て…みたいなあれだ!
本来焦るべきこの状況。そして案の定優太先生は本気で焦っている様子だったが、なぜだか俺はそんな焦りが一切ない。
優太先生とこの状況という嬉しさの方が勝ってしまっているのだ。
───シャッ
とまあそんなこんなで、俺たちは無事に仲直りしました。
______いや、喧嘩はしたつもりないんだけどね。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。