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第1話

それは突然、始まった
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2020/11/08 06:34
ユイ
ユイ
え、私……。普通にユキトくん、好きだけどなあ
お昼休み。
親友のユイといつもと同じように過ごすランチタイム中、思いがけない爆弾をユイが正面からぶっこんでくる。
みなみ
みなみ
え、ユキト……? 
あのメガネを?
ユイ
ユイ
いや、まあ。確かにユキトくん、メガネしてるけどさ
苦笑しながら答えるユイに動揺は一切見られない。

それにしても、動揺していたとはいえ……。
自分の語彙力のなさに違う意味でびっくりする。
ユイ
ユイ
みなみがボロクソ言うほど、悪い人じゃないと思うけどなあ
みなみ
みなみ
……それは、ユイがユキトのことを知り尽くしていないだけで
実にナチュラルにユイを否定するような言葉を述べつつ、サラリとマウンティングするかのような発言をする自分の浅ましさに自己嫌悪してしまう。

それでも突っ走り続けるなんて……。
どこまで私は馬鹿なのだろうか。
ユイ
ユイ
まぁ、そういう点は……。
ちょっとやそっとで勝てるわけもないと思ってるよ。みなみは幼なじみなんだし。
実際、高校生になってからのユキトくんしか知らないしね。
みなみ
みなみ
……え、と。
ユイはユキトの過去とか、気にはならないの?
ユイ
ユイ
うーん……。過去が気になるかならないかで言えば、気になるよ。
だけど、それは今のユキトくんを構成したパーツを知りたい的な感じで。
過去の所業を暴きたい、という意味ではないからひとまずは気にしないというか
みなみ
みなみ
……
あまりにも素直に気持ちをユイが語るから困惑する。

私、あれほどユキトのことをボヤいていたよね?
どこに惹かれる要素があったの?

なんて、聞きたいけど聞けやしない。
だって、それは自分自身にも言えるワードでもあるのだから。

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