❀彼女side
「マスター、もう一杯…。」
「…かしこまりました。」
やっとヨコハマに帰ってこれた。
そしてやっと彼に逢える。
早く逢いたくて待ち合わせよりもだいぶ早く来てしまったから、お酒を飲んで待つことにしたんだけど…。
飲みすぎたぁ〜…。
出張のストレスもあり、ちょっと飲み過ぎてしまった。だんだんと睡魔が襲ってくる…。
早く逢いたのに。
早く彼の声を聞きたいのに。
早く彼の温もりを感じたいのに。
早く、早く、、早く………
ー ー ー ー ー ー ー ー
❀太宰side
カラン コロン …
私の彼女が出張から帰って来た。
逸る気持ちを抑えて待ち合わせ場所の店の扉を開けた。
店内を見回し、彼女を探す。
カウンター席に座っている彼女を見付け、すぐさま駆け寄ったが…
スゥー…スゥー……
「…ねぇ、起きて。」
身体を揺すってみたが起きる気配はない。どうやら私が来るまでお酒を飲んで待っていたが、途中で酔い潰れてしまったらしい。カウンターに置かれた幾つものコップを目にし、私はそう推理した。
「………」
私が着ていた外套を彼女に被せ、彼女の小さな身体を背中に背負った。
彼女の分の会計を済ませ、彼女と共に店を出た。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。