第53話

青い恋人
58
2021/02/10 15:02
夕焼けに映ってる二つの影がすれ違っている
君と僕の精一杯の距離だね
一度だけ鳴って切れた着信音に
慌てて飛び乗るバスの中で
思い出すよ夏の夜
街の灯を見下ろす赤いテレビ塔
あの秘密の場所に僕はまだ鍵を掛けたくはないよ
繋いでいた手と手が音も立てず解(ほど)けてく
ごめんねの一言さえ出てこない
「君を幸せにする」
なんてちょっと茶化して言ったけど
伝えに行くよ今度こそは、「愛してる。」と


真っ白なTシャツではしゃぐ砂浜
打ち寄せる波をよけて遊ぶ君の姿に恋した
帰り道少しだけ遠回りした
隣でほほえむ君がいれば他に何も欲しくない
初めて手が触れて 伝わる温もり
この時間がずっと続くよう 星空に願ってたよ
重ねてきた思い出たちが胸の奥を締め付ける
はねた髪 大事な時笑う癖
素直になること出来なくて
つよがりばっかりだったけど
今はこの手で君を強く抱きしめたい

気付いたんだよ 僕以上君は僕を
いつも愛してくれていた これからも
君の代わりは誰にも出来ない
お揃いの未来を見つめていたいから

止まっていた時計の針が音を立てて動き出す
ごめんね 今日まで少し待たせたね
「君を幸せにする」
なんてちょっと茶化して言ったけど
伝えに行くよ今度こそは、
「愛してる。」と

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