桜の花が咲く頃に貴方は私の前に現れた
今日だって……
『また来てしまった……嫌なことがあったらここに来てしまう癖……どうにかしよう』
ここは昔から馴染みのある場所。
何かあれば必ずここに来てた……だって私の心を唯一休ませてくれる1本の大きな桜の木があるからだ。
私のお気に入りの場所。
いつまで経っても変わらない………はずだった。
それは唐突に起きた、、、
私が不意にも大きな桜の木の下で寝てしまったことから始まった。
『ん…ん? ここは?どこ?いつも違う場所?私、大きな桜の木の下で寝てたと思うのだけれど……』
「はい…確かにあなたは桜の木の下で寝てました
ここは僕が作った夢の世界あなたを歓迎します」
『夢の世界……』
「僕はあなたが作った幻です……」
『私が作った幻……じゃあ私の理想の恋人かな?フフねぇ……少しだけお話しよ?』
「勿論いいですよ……ですが、時間が来たら帰ってもらいますよ? しっかりと」
『分かったわw』
それから沢山たわいもない話をした けれど時間が来たみたいだった。
「あっ、時間が来ましたね……」
『もうそんな時間ですか……早いな〜笑 さて、帰ろっかな………バイバイ いつかまた会えますようにw』
そして私は現実に戻ってきた。
『長かったような短かったような時間だな〜……多分もうあの人には会えないけど、おかげでスッキリできた気がするな〜』
あの日から10年たった。
何故か一年に一度はあの人が夢に出てきてくれる。
そこでたわいもない話をする、、それが私の1年の中の楽しみになっていた。
けれど5年目の日からぱたりと夢に出てこなくなってしまった。
けれど理由が分からないわけでもなかった……分かっていたのだいつか必ず彼は居なくなると…そう思ってしまった。
あれから15年私は理想の恋人が……出来た。
きっと彼のおかげなんだろう……そして今も彼はどこからが見守ってくれてる気がする。
ありがとう桜の木
あなたのおかげで色んな経験が出来た
いつまでも見守っててください
そしてあなたは私の前から消えた
END
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!