しょうやside
帰ってもあなたがいない。
あれ、部屋に戻ったのかな?
あなたの部屋のドアを叩く
あなたがこっちに歩いてきた
飲み物がいっぱい入った袋を渡す
あなたの好みがわからなくて、
あらゆる飲み物を買ってきた
すこし笑ってくれた
部屋を出ようとすると
あなたに腕を掴まれる。
ふふっと笑いながら頭を軽く触る。
あなた、照れてる…
ギュッ
不意にあなたが抱きついてきた。
返事はしなかったが、
あなたの小さな体をギュッと抱きしめかえした。
あなたの頭を撫でる。
心臓の拍動が体中に響いてる。
どれくらい経っただろうか。
これ以上ここにいたら、ほんとに僕もおかしくなる。
足早に部屋を出る。
これは熱のせい、だよね。
あなたside
しょうやに衝動的に抱きついてしまった。
恥ずかしい…
私なにやってんだろ。
とにかく寝よう!
寝ればきっと、元に戻る!!
これは熱のせいだ。
少し寝ていると、れんくんとじゅんきくんがおかゆを作って来てくれた。
なんでみんなこんなによくしてくれるんだろう。
ほんとに優しくて、あったかくて、
ここに住めて、幸せなんだなぁ。
とにかく今は、早く治して正気に戻ろう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!