夕方17時
そろそろ帰ろう。
今日はしおんと映画に行く約束だ。
医局に帰る途中、後ろから腕を引っ張られる
本田先生はぐいぐいわたしの手を引き、
そのままカテーテル室に連れてこられた
しおんに連絡しなきゃ。
急いでカテーテルの準備に取り掛かる
頭の中はそれでいっぱいだった。
でも今は処置に集中しないと。
その後もう一件処置があり、
手が足りないからと下っ端の私は入らざるを得なかった。
全部が終わったのは24時。
しおんに謝罪のLINEを送る。
返信はこない。流石にもう寝てるか。
とにかく急いで家に帰らないと。
ガチャっ
ソファにしおんがいる。
顔が怖い…
そりゃそうだよね、、
必死に頭を下げる
本当に申し訳なくて、
目から涙が溢れる。
せっかくしおんと仲良くなれたのに、
わたしから壊しちゃうなんて。
小さく頷いて
しおんの横に座る
目は合わせられない。
しおんにグイッと顎を持ち上げられる。
そう言って涙を拭ってくれる。
どんどん涙が溢れる
しおんはあなたの頭をくしゃくしゃっと触る。
そう言って部屋に戻って行った。
ごめん、しおん。
もうそれしか考えられない。
私が帰るまで、しおんはどんな気持ちで待ってたんだろう。
考えれば考えるほど、申し訳なくて、
自分が情けなくなる。
優しすぎるよ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。