第25話

お揃いのもの
602
2020/06/07 13:47
思わず一緒に買い物にでも行かない?とウジくんを誘ったはいいが…思ったらこれってデートになるんじゃないのか…?今更ながら私は自分の服装を見直した。

決して変ではないと思うが、デートに向いてる服装なのかと言われれば…もう少し気合を入れても良かったのかもしれない…。

ウジくんは深くキャップを被りマスクをつけている。
足元はお決まりのサンダルスタイルだ。

ウジくんらしい…。
それに万が一撮られるような事があっても困るしな…。ちょうどいいラフさがあった。
ウジ
ウジ
あなたどこに行くの?
あなた

場所は…特に決めてないから…適当に歩こっか

ウジ
ウジ
ん。何か欲しいものとかがあって外出るんだと思ってたけど
あなた

私、物欲がそんなにないんだよねぇ…買い物行く時間があったら曲書いたり仕事してるかも…

ウジ
ウジ
まぁ、それは俺も同じだわ
あなた

でもウジくん、すごくオシャレだよね…!センスがいい。

ウジ
ウジ
メンバーの借りてることが大半だけどな
あなた

あーね(笑)

しばらく歩いていると雑貨屋さんが目に入ってきた。
あなた

ねぇ、あそこの雑貨屋さん入ってもいい?

ウジ
ウジ
いいよ?
特に何か欲しいものがあるわけではないが、雑貨屋さんを見るのは好きでよくブラブラする時に入ることがある。

店内はアクセサリー類が結構多いようだった。
あなた

このピアス可愛いなぁ…あ、でもこのリングも可愛い…

ウジ
ウジ
あなたってピアスしてたっけ?
あなた

うん。たまにね〜!
両耳ひとつずつ穴は開けてるよ。

ウジ
ウジ
ふーん
あなた

そう言えば、ウジくんはピンキーリング毎日してるよね?

ウジ
ウジ
あぁ、これは社長から貰ったSEVENTEENの証だから。みんなも付けてて大事にしてる。
あなた

そのリングそういう経緯があったんだ!
それは大事なものだね。
でもいいなぁ…メンバーでお揃いでしょう?仲良いねほんとに。私もなんかお揃いにしたいー(笑)

ウジ
ウジ
あなたもお揃いのものなんか付ける?
あなた

えっ…?

ウジ
ウジ
でも、お揃いにするの俺とだけね。
他の奴には渡したくないから。
あなた

え?

男前すぎる発言に私はついていけなかったが…冗談で言ったつもりのお揃いのものを付けるという提案は、ウジくん的にはまんざらではないようで、楽しそうに何にするか選んでいた。

まるで、恋人同士のよう…って付き合ってもないんだけど…
あなた

ねぇ、ウジくんこれはどう?ブレスレット!

ウジ
ウジ
シンプルで綺麗だね。いいんじゃない?
あなた

じゃあこれにする…?

ウジ
ウジ
うん。買ってくるよ。
あなた

え!待って!私が買う!言い出したの私だし…!

ウジ
ウジ
やだよ…女の子に払わせるなんて。ご飯は奢ってくれるんでしょ?ならいいじゃん?
気前良すぎか…男前すぎか?ウジくん…まだ君21とか22歳とかじゃなかったでしたっけ?
私は彼の男らしさらに圧倒され何も言えなかった…。

結局ブレスレットはウジくんが買った。
ウジ
ウジ
はい。腕出して?
あなた

…??はい?

私は左手をウジくんの方へ差し出した。

するとウジくんはさっき選んだブレスレットを私の手首につけてくれた。
ウジ
ウジ
あなた手首細いな…落ちちゃいそう(笑)
でもピンクゴールド似合うね
あなた

ありがとう…大事にする。
ウジくん、ウジくんのは私がつけてもいい?

ウジ
ウジ
つけてくれるの?嬉しいな
私はウジくんからブレスレットを預かり、ウジくんの左手首にブレスレットを通した。

デザインは同じだがシルバーの色の線の細いブレスレットは色の白い繊細な手にとても似合っていた。
あなた

ウジくんも似合ってるね!

ウジ
ウジ
ありがとう。めっちゃ嬉しい、あなたとお揃いなの。
あなた

私も…!特別だね!ウジくんに見守られてるみたい(笑)

ウジ
ウジ
ん。
お店を出て暫く歩いている時だった。
??
??
あれ…SEVENTEENのウジじゃない?
??
??
え?どこどこ?
あなた

ウジくん…バレてる…ファンの子かも…

ウジ
ウジ
ちょっと逃げよう。
そう言ってウジくんは私の手を取り早歩きでファンの子達から見えないところまでスタスタと歩き始める。
ウジ
ウジ
ここまで来れば大丈夫かな…あなた?大丈夫?
あなた

はっ…全然大丈夫!やっぱりウジくんオーラが違うからすぐバレるね(笑)

ウジ
ウジ
ウジってあなたが呼ぶから余計かもね
あなた

えー?そんな大声で呼んだりしてないじゃん…?本名だって知ってる子は多いだろうし(笑)

ウジ
ウジ
そもそも、あなた俺の本名知ってるの?
あなた

知ってるよ?イ・ジフンくんでしょ?

ウジ
ウジ
知ってたんだ…
あなた

ジフンくんって呼ぼうか?(笑)

ウジ
ウジ
…くん要らない。呼ぶならジフンでいい
あなた

じゃあ、ジフンって呼ぶ…ね?

ウジ
ウジ
ん…そうして。
心無しかウジくん…いや、ジフンは照れているように見えた。
可愛いな…と思いながらそのままブラブラたわいも無い話をしながら歩いていた時、ふと私は喉が渇いて、飲み物を買ってくるねと伝えて少し彼と離れた。
あなた

ジフンもいるかな…?結構歩かせちゃってるし、コーラか何か買っていくか…

私は自動販売機でコーラとお茶を買ってジフンのもとに戻ろうとした。
その時だった…
??
??
君今1人なの…?
??
??
俺らと一緒に遊ばない?
あなた

は?いや、連れが居るので結構です。

??
??
怒った顔も可愛いねぇ〜?いいじゃん、ちょっとくらいさー
そう言って知らない男達は私の右手を掴んできた。振りほどこうとするが、男性相手の力には勝てない。

気持ち悪い…!!!
こんな絵に書いたようなナンパ久しぶりに見た…と感心している場合でなく…
あなた

離してくださいっ!!

??
??
嫌だねー。君みたいな可愛い子逃しはしないよ
??
??
連れは女の子?その子も一緒にどう?
手を掴んできていないもう1人の男は私の腰に手を回してきた。

気持ち悪すぎて鳥肌が立っているのが分かる。
怖くて大きな声が出せない。いつもの私なら出せると思うのに、力が叶わず恐怖の方が強かった。

助けて…ジフン…助けて!!

心の中で叫んでいたその時だった。
ウジ
ウジ
俺の女になんか用?
気安く触らないで欲しいんだけど??
あなた

ジフン…

??
??
ちっ…な、なんだよ男かよ…
??
??
はー…久々にめっちゃ可愛い子見つけたのによー!
そう言いながら、ナンパしてきた男2人は私から手を離しジフンから逃げるように去っていった。

私はその瞬間気が抜けてふらついてしまった。
ウジ
ウジ
おっと…あぶな、、、あなた大丈夫?
あなた

ジフン…ありがとう…助けてくれて…

ウジ
ウジ
ごめん、1人で買わせに行かなきゃ良かった。
あなた

ううん。自販機に行っただけなのに絡まれると思ってなかったから…ちょっと久々に怖かったや…

ウジ
ウジ
すぐ助けられなくてごめんな
あなた

ジフンが謝ることじゃないし、助けてくれたじゃん。かっこよかったよ。ありがとう!

ジフンは本当に男らしい。すごく頼もしく見えた。
ウジ
ウジ
お、飲み物俺のも買ってくれてたの?
あなた

あ、うん?コーラで良かったかな?(笑)

ウジ
ウジ
うん。コーラ好きだから。
あなた

よかった(笑)

コーラを飲みながら歩くジフンの後ろ姿を見ながら、私はジフンの左手首に光るブレスレットを眺めていた。

なんで私なんだろう…?
謎めく想いが強いことは変わりなかったが、今日はジフンを独り占めしたいなと思ってしまい、気づいたらジフンの元へ駆け寄って左手を握りしめていた。
ウジ
ウジ
…!?あなた??
あなた

ちょっとだけ…手繋がせて?

ウジ
ウジ
…い、いいけど…どうしたの?
あなた

何となく。触れたいな…って思ったから。

ウジ
ウジ
そう…
その後特に何かを話すことはなくただ手を繋いでゆっくりと秋風に吹かれて散っていく木の葉を見ながら歩いた。

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