第41話

憂鬱な日の始まり
524
2020/06/28 12:57
私は朝から憂鬱な気分でしか無かった。
やっと韓国に戻れる日だというのに、ジフンにやっと会えるというのに、最も会いたくなかった人が私の隣でニコニコ笑っている。
竹内 蓮
竹内 蓮
みんな本当に美男美女の集まりなんだなー!全員あなたがオーディションで見つけたの?
あなた

そうよ。

飛行機の搭乗前だというのに、この人はずっとペラペラと喋っている。
そして結局メンバー分の搭乗の手続きも全部私がやっている。こいつはマジで何をしに行くんだろうか…。
イ・エジュン
イ・エジュン
あの…あなたヌナ…この人は…
あなた

あーごめん。皆にまだちゃんと紹介できてなかったね。
この人は竹内蓮たけうち れん、これから皆のマネージャーとして着いてくれる事になったの、何かあったら竹内さんに伝えてね!

竹内 蓮
竹内 蓮
よろしくねー!
ユン・ソア
ユン・ソア
私…あなたオンニが良いです…
パク・ジアン
パク・ジアン
私も…なんか…いや…
あなた

そ、そんなこと…言わないで…?ね??
(すごく気持ちは分かるのだけど…)

竹内 蓮
竹内 蓮
何話してるんだ??
あなた

竹内さんが男性だから出来れば私たちは私に見てほしいって言ってるだけよ。
(オブラートに包むとだけど…)

彼はまだ韓国語が分かる訳では無い。
メンバーもそれが分かっているのか普通に韓国語で彼のことをやんわり毛嫌いしている。
特に女子2人からの印象は悪いようだ…。
あなた

さっ…とりあえず飛行機の搭乗始まるからみんな行くよ!

LiGHt
はーい!
竹内 蓮
竹内 蓮
初韓国!楽しみだーー!
あなた

あのねぇ…旅行じゃないんだから、しっかりしてくれない?仕事してまじで。
不要だと思ったら速攻日本に帰すわよ。

竹内 蓮
竹内 蓮
うわー怖っ。てかあなただってどうせ遊んでたんだろー?ちょっとくらい良いじゃん!
あなた

は?遊んでるわけないでしょ!?
どれだけ必死でこの子達を見つけたと思ってんのよ!次そんなこと言ったらただじゃおかないから。覚悟しておいて!!

ダメだ、本気でぶっ飛ばしたくなる。
この人はこういう人だって事を忘れていた。
仕事は全く出来ず、他人任せでいつものんびりケラケラしている、なんで私はこの人と付き合ってたんだろうと謎で仕方ない。

苛立ちを抑えながら、私はできる限り平常心を心がけ、ひたすらあと少しでジフンに会えると心の中で唱え続けた。

*****

韓国までの飛行はメンバーも含めて私も爆睡してしまい、あっという間のフライトだった。
竹内 蓮
竹内 蓮
うわぁぁあ!着いたー!
あなた

さ、皆は車用意してあるから、乗り込んじゃってー!宿舎に帰ろうー!

チョン・ジホ
チョン・ジホ
久々の宿舎だー!
ウォン・シフ
ウォン・シフ
帰ったらゲームしようぜ!
チョン・ジホ
チョン・ジホ
だなー!
竹内 蓮
竹内 蓮
えっ、宿舎ってなに?
あなた

メンバーの子達が住んでる寮みたいなものよ

竹内 蓮
竹内 蓮
へぇ…あなたは?どこに寝泊まりしてるの?
あなた

みんなと同じ宿舎だけど?
部屋は別れてるから。

竹内 蓮
竹内 蓮
あれ、じゃあ俺もそこで寝泊まり出来るんだよな?
あなた

部屋余ってないけど?何も聞いてこなかったからてっきりホテルでも取ってるんだと思ってたけど?

竹内 蓮
竹内 蓮
取ってないよ、あなたが取ってくれてるかと思ったから。
本当に仕事が出来ない人だなとつくづく思った。
この人が営業から外されたのも、きっとこの常識のなさが原因だったのだろう。
あなた

宿舎の部屋数もないし、どこかのホテルでも借りて?あとどれ位居れるか分からないから、賃貸も探した方がいいわよ?

竹内 蓮
竹内 蓮
え、宿舎があるならそこでいいじゃん!1人寝るスペースくらいあるだろ?
てか、あなたは宿舎で住んでるんだろ?俺の部屋も確保しておけよなぁー
スン・ミンジュン
スン・ミンジュン
自分のことしか考えられない人…?
パク・ジアン
パク・ジアン
あなたオンニが可哀想…仕事増えてる感じ…
ユン・ソア
ユン・ソア
許せません…
完全にメンバーからの印象も悪くなってきている…。
少しと言えどメンバーは日本語も上達してきている。敢えて韓国語で話しているあたり、ヤバそうだ。
あなた

いきなり決まったことだから、すぐに手配なんて出来るわけないでしょ?宿舎だってプレディスの担当さんのご好意で私の部屋も用意してくれてるんだから、あなたのがある訳ないじゃない…。
とりあえず今日は雑魚寝で良いなら来ていいわよ。明日からはホテルでもマンスリーでも取って頂戴。

竹内 蓮
竹内 蓮
お!そしたらそのプレディスの担当に俺も媚び売ればいいんだな!明日挨拶に行こうぜ!
あなた

はぁ?…あなた本当に凄いわね…図々しいにも程があるわ…

本当に憂鬱でしかないと思いながら、竹内さんも含めて車に乗り込み、宿舎へと帰宅した。

帰ったら自由だ。SEVENTEENの皆に会いに行こう、ジフンに会いに行こう。
本気でイライラしすぎて皆から癒しが欲しいとそればかり考えていた。

*****

宿舎に着いて、私は竹内さんを捲るためにこの後残ってる仕事を片付けないといけないから、ちょっと出てくると伝えて私はプレディスの事務所でとりあえず避難することにした。
あなた

はぁ…あの人があんなに使えない人だとは思っていなかった…

仕事が出来ない、女たらしという事は分かっていたものの、今までは一緒に仕事をしてきた訳では無いので、ここまで酷いとは思っていなかったのだ。
あなた

とりあえず…ジフンに連絡しておこう…

私はカトクを立ち上げてジフンへ「韓国戻ってきたよ、事務所に居るから練習終わったら連絡頂戴」とメッセージを送った。

すると、直ぐに既読になり「早く会いたい、作業部屋で待ってて」…と返事が返ってきた。

私はジフンの作業部屋へと向かい扉を開け、部屋の電気を付けて、なんとなくいつもジフンが座っている椅子に腰掛けた。

目の前にはMacのディスプレイ、横にはキーボードなどもあり、改めてSEVENTEENの楽曲がここで生まれているんだなと感慨深い気持ちになった。
あなた

はぁ…早く会いたいなぁ…

そう呟きながら、やることも無く私は自分のパソコンの電源を付けて、ジフンが来るまで自分の仕事を片付けることにした。

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