そろそろ寝ようかなと思いスマホを置こうとしていた時だった。着信の画面に切り替わり、画面には「ジョンハン」と書かれている。
こんな時間に一体何の用だろう…と思いながら俺は電話に出た。
電話越しにホシの声とあなたの声が聞こえる。ホシはいつも通りテンションの高いうるさい感じだったが、あなたはいつもよりハキハキ喋れておらず舌っ足らずな感じの声をしていた。結構飲んでいるのだろうか…?
有無を言わさず通話は切られ、渋々俺は上のディエイトの部屋へと向かった。
部屋の目の前まで来たが、楽しそうな笑い声が外まで響き渡っている。
部屋の扉をノックしたが、なかなか返事が来る気配はない。
扉が開いたと思ったら、そこには顔を真っ赤にしてニコニコ笑っているあなたが立っていた。
部屋に入った瞬間の酒臭さと、明らかに酔っ払い、いつものキリッとした姿からは想像できない、ほわほわとしたあなたの変わりようにビックリしながら俺は部屋に入った。
そう言いながらあなたはチラッと俺の顔を見ると、目をうるうるさせながらすぐそっぽを向いた。
なんだよそれ…可愛すぎる…。
というか、意識してくれているのか…?
ハニヒョンの一言で改めて俺も混じえて乾杯をした、俺はあなたが座っていた隣に座らせてもらった。
まだ彼女は顔を赤くしてでもどんどんワインに口付けていく。
あなたはまた目線を俺から外し1口ワインを飲んだ。
自意識過剰だと言われるかも知れないが、あなたは明らかに意識をしてくれていると確信した。
明らかにハニヒョンは俺に嫌がらせでこんな事をしているのは分かっていたが、あなたからどんな答えが出てくるのかも気になって、話に乗ることにした。
あなたは手で顔を隠そうと必死だったが、その姿さえも可愛らしくて、俺はこの場で倒れそうだった。
あなたは俺の手を取りあなたの手のひらとサイズを比べられるように重ね合わせた。
いきなり手を合わせられるだけでこんなに緊張することはあるのだろうか…コンサートが始まる前なんかよりも数十倍緊張しているのを感じた。
そう言い、俺は重ねられた手のひらを見た。
ひと周りほど小さいあなたの手がさっきは冷たかったのに、少しずつ暖かくなって来るのを感じる。
それが何故かすごく愛おしく思えて、俺はあなたの指に自分の指を絡めギュと手のひらを結んだ。
パッと手を離すと、ハニヒョンとホシとディエイトが案の定ニヤニヤしている。
3人がなにか言いたげな顔をし俺を見てきたが、何を言いたかったのかは汲み取れなかった。
あなたは椅子にもたれ掛かりスイッチが切れたように寝てしまっていた。
そうこうしているうちに最後の1杯を飲み終えた。
俺はあなたを揺さぶり声をかける。
そう言いながらあなたはゆっくりと椅子から立ち上がろうとした。
あなたは立ち上がろうとしたがふらついてしまい、俺に抱きつくような形になってしまった。
あなたは申し訳なさそうに俺の背中に身体を預けてきた。
俺らがツアーで殆ど宿舎に戻っていない期間、あなたはずっと仕事に明け暮れていたと聞いているが、ほんとうにこいつご飯たべてたんだろうか…?と心配になるくらいあなたは軽かった。
他の3人にはニヤニヤされながら、俺はあなたを背負って自室へと戻った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。