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第42話

やっと会えたね
660
2020/07/05 16:00
私は胸が高まっていた。
私の目線の先には、ジフンがステージに立ち、沢山のファンの子達に手を振っている。
私はそんなファンの子達に混じって、花道のすぐ横のアリーナ席からジフンを眺めていた。
もうすぐジフンが私の所まで歩いてくる。

するとジフンが私に気づき、ニコッと笑って手を振った、そして言ったのだ「君のために歌うよ」…と…。

私はビックリしてぼーっとしてしまっていた。
隣のファンの子達も自分と目が合ったとキャーキャー騒いでいる。

あぁ…自分がもしファンだったら、仕事の繋がりはなくてただのファンの1人だったらジフンと特別な関係にはなれなかったのかもしれない、そう思うと切なくて辛くて私はただただ泣きじゃくっていた。

*****
ウジ
ウジ
…て?ねぇ…
…?ジフンの声がする。
あれ…?私…今どこに居るんだっけ?
ウジ
ウジ
あなた?起きて?
あなた

あ…夢…だったんだ…

ウジ
ウジ
なんで泣いてるの?辛い夢でも見たの?
大丈夫??
ジフンは心配そうに私の頬に触れて零れた涙を拭ってくれた。
あなた

ごめん…いつの間にか寝ちゃってたみたいで、あんまり覚えてないんだけど…嫌な夢を見てたみたい。

ウジ
ウジ
そうか…でももう俺が来たから大丈夫。
あなた、久しぶりだな…ちょっと痩せた?
あなた

痩せたかな…?結構忙しかったから

ウジ
ウジ
見てたよ、色んな動画サイトとか配信とか。
韓国でも凄く人気が出てて石川さんもこっちで忙しそうにしてたよ?
あなた

本当?あ!そうそう!5月にね、またカムバック出来ることになったんだよ!!
こんなスパンでCD出せるなんて…!

ウジ
ウジ
5月?そしたら俺らのカムバックと被りそうだね?
あなた

そう言えば…SEVENTEENも5月に控えてたね?
今回韓国でもリリースするから…怖いなぁ…頑張らないと(笑)

ウジ
ウジ
あーだからか…なるほど…
あなた

何が…?なるほど……?

ウジ
ウジ
ほら、前電話した時に俺らの担当が企んでるって言ったじゃん?
あなた

あー!言ってたね?
あれは何?企画か何か?仕事の話とは言ってたよね?

ウジ
ウジ
俺が言っていいのかな…まぁ、いっか。
そのリリース楽曲にそれぞれのグループがプロデュースした楽曲を入れようって話をしてたんだ。
あなた

え?ってことは…

ウジ
ウジ
あなたが作った曲をSEVENTEENが歌って…俺が作った曲をLiGHtが歌うんだ。
あなた

何それ!絶対面白いじゃん…!!
うわー!私が作った曲を皆が歌ってくれるの??絶対面白いし、楽しいね!!

ウジ
ウジ
うん。俺もやってみたいし、是非お願いしますって言っておいたから、もしあなたが良ければ、やってみない?
あなた

もう是非ぜひ!!ここ最近嫌なことが多かったから、これはめちゃくちゃ嬉しい知らせだっ!

ウジ
ウジ
とりあえず来週からは俺もカムバックで忙しくなるから、実際の制作は2月末位からで本当に時間が無いから大変だと思うけど…
正直LiGHtの5月カムバックも急な話だ。
1曲も出来上がってない為、後3ヶ月弱で楽曲を作り込まないといけないという超絶無理なスケジュールではあるが…。

ジフンに楽曲を提供してもらえて…
尚且つ私が作った曲をジフンがSEVENTEENの皆が歌ってくれる。それだけでもかなり有難い事だったし、挑戦してみたいと思った。
あなた

やるよ!やりたいし。
楽しみにしてる!

ウジ
ウジ
そうだな。俺らのカムバック期間中はなかなか大変な思いをさせてしまうかもしれないけど、出来るだけ2人で一緒に作業できる時間があった方がいいと思うから、時間を作るようにするよ。
あなた

ありがとう!でも無理だけはしないでね?
かなりハードなスケジュールになるのには変わりないと思うし…。
あ、ジフンが仕事でいない間ここの作業部屋借りたりしても平気?

ウジ
ウジ
全然構わないよ?
機材も使っていいし!
あなた

めちゃくちゃ助かる!
楽曲作りのためにスタジオ借りると経費が…(笑)

ウジ
ウジ
カムバック期間中はほとんど作業部屋に来れないことの方が多いから、むしろ丁度いいかもね。
LiGHtの5月カムバックまじで楽しみにしてるわ。
あなた

まずは来週のカムバック頑張って!
応援してる…!
あ、そうだっ!!サンプル盤私のデスクに置かれてたんだよね…開けてみないと!

ウジ
ウジ
え、今開けるの?
あなた

ジフン当たるかなと思って(笑)

さっき戻ってきた時に自分のデスクにSEVENTEENの6枚目のミニアルバム、YOU MADE MY DAWNが置かれてあるのに気づき、作業部屋に持ってきていたのをすっかり忘れていた。

律儀に3形態1枚ずつ置いてくれたのは恐らく石川さんだろう。
あなた

ジフンが当たるといいなー!

ウジ
ウジ
……
ジフンは恥ずかしいのか黙りこくったまま、アルバムを開ける姿を見ている。
あなた

はっ!見てみて!レンチはホシくんだ…!
トレカは…ドギョムとスングァンだね!

ウジ
ウジ
………あっそう。
あなた

次は……っ!!!きたっ!!この形態のレンチジフンだよっ!あ、トレカもじゃん!!やったー!デスクに飾っとこー(笑)

ウジ
ウジ
良かったな…
あなた

最後の1枚は…レンチが?おーー?またホシくんだわ!
トレカが…ドギョムと?ジョンハンだね!

ホシくんとドギョムくんにも会いたいな…と思いながら私はジフンのレンチを動かしながら見ていた。
ウジ
ウジ
そんなに、見るなよ…
あなた

え?なんで?

ウジ
ウジ
なんで…って…
あなた

このジフンかっこいいね!
レンチってすごいなぁ…動いてるわ…

ウジ
ウジ
そんなの見なくたって…
…本物がここに居るんだから良いだろ?
あなた

えっ…あ、うん…でもこのジフンもかっこいいからデスクに飾っておく…

ウジ
ウジ
あっそ…(笑)
満更でもないような、少し恥ずかしがった顔つきでジフンは笑った。
笑ったジフンを見るのは本当に久しぶりのような気がして、私もつられて笑ってしまった。
ウジ
ウジ
今日ももう遅いし、宿舎に帰ろうか。
話したかった話も出来たし…。
あなた

うん!そうだね〜やっとジフンに会えて嬉しかった。
ちょっと…寂しかったから…

ウジ
ウジ
それは、俺もだよ。
やっぱりあなたが韓国に居ないのは考えられないや…
あなた

大丈夫だよ。私凄く韓国大好きになったし!ジフンが居るし、韓国に永住するのでも良いかなって最近思ってるもん!

ウジ
ウジ
良かった…それを聞けて安心したし、嬉しいよ。
あなた

ジフンの事それだけ大事になってたんだなぁ…ってこの1ヶ月で良く思い知らされた

ウジ
ウジ
俺もだよ。あなたが居ない日が楽しくなくて…早く帰ってきて欲しいってずっと思ってた。でもなかなか連絡も自分から出来なくて…ごめんな
あなた

いいの。私から連絡するから!(笑)
あ、ジフン!出る前に約束したこと忘れてないよね?

ウジ
ウジ
俺は約束したつもりないんだけど?
あなた

えー!ケチー!
良いじゃない!私たち恋人同士でしょ?(笑)

ウジ
ウジ
1回だけだからな……
あなた

1回だけで十分だよ

私はジフンの目の前に立ち目の前にいるジフンの目を見た。ジフンもしっかりと目を合わせてくれて、にっこりと笑った。

緊張と恥ずかしさが入り交じり目が合わせられなくなってくる…。
キュッと瞼を閉じた時には唇に暖かな感触を感じた。
ウジ
ウジ
やっぱり…慣れる気がしない…
あなた

そっ…それは…私も…だわ…

互いにやっぱり恥ずかしくなってしまい目を逸らしてしまう。でもそんなぎこちなさが何だか嬉しくて、私もジフンも笑っていた。
ウジ
ウジ
さ、帰ろう。
あなた

うん!

私は少しだけ先を歩くジフンの後ろ姿を追いながら作業部屋を後にした。

この時は宿舎にアイツが居ることなんて忘れ去っており、幸せな気持ちいっぱいでジフンと車に乗り込んだのだった。

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