第9話

WOOZI Side Story #1
732
2020/05/27 17:11
たまたまだった。
気まぐれでメンバーの買い物に付き添った事で俺は忘れられない出会いをする事になる。
この時はこの人が大事な人になるなんて思いもしていなかったんだ…。

*****

ハニヒョンやホシが欲しいものがあるからと明洞に出かけると言い俺はなんとなく着いて行った、そしたらファンに早々に見つかってしまい、駅の周りはいつの間にか人集りになってしまっていた。

俺らはその場を立ち去ろうとするも、俺らを追ってくるようにファンの子達は着いてくる。
集まった人達が一度に移動する事によってお祭り状態だった。

そんな状況だ、一般人も歩きずらそうにしているのは見えていた。そんな時だった。
ホシ
ホシ
危ないっ…!!
ホシがいきなり叫んだのだ。

ホシの目線を辿ると一人の女性が階段から落ちそうになっていたが、気づいた時にはもう遅く大きな音を立てて何十段かの階段から落ちていっていた。

ファンの子達もそれを見た子が居たのか、悲鳴が聞こえる。
ジョンハン
ジョンハン
見に行こう…!
ジョシュア
ジョシュア
あの子、大きなキャリーケースも持ってたよ!?大丈夫かな!?
ホシ
ホシ
カラットの皆ごめんね!また会おうね!
そう言い何とかファンの波を掻き分けて、転落した女性の元へと向かった。
ホシ
ホシ
大丈夫ですか!?
あなた

ーーーーーーー?

女性は韓国語ではなく日本語を喋っているようだった。だが、すぐに気を失ってしまったのだ。
ジョンハン
ジョンハン
俺、救急車呼んでくる!
名前がわかるものとかあるかな?パスポートとかないか探してみて!
ジョンハンはそう言うと直ぐに救急車を呼びにその場を離れた。

辺りはこの女性が持っていたキャリーケースの他に手持ちの鞄から飛び出したポーチや財布などが散乱していた。
ウジ
ウジ
楽譜…?
散乱した床には楽譜が何枚も散らばって居た。
よく見ると日本語の歌詞も記載されているようだった。

散らばっていた紙類も含めて一通り拾い改めて鞄の中を見るとパスポートが入っていた為、スムーズに病院に行くことが出来た。

そのまま救急隊員に託しても良かったのだが、この場にいたメンバー全員が後味が悪く、一緒に病院までついて行くことにした。
ジョシュア
ジョシュア
何事もないといいね…大きな怪我とかしてないと良いけど…。
ホシ
ホシ
初めて見たよ…あんな目の前でゴロゴローって階段から落ちた人…
ジョンハン
ジョンハン
とりあえず、気を失って今は寝てるけど、大きな怪我はなさそうだってお医者さん言ってた。
目覚めたら帰っていいみたいだね。
ジョシュア
ジョシュア
日本から来たばかりだったのかな?
凄く綺麗な顔立ちした人だけど…
確かに彼女の寝顔はすごく整っており、もしかしたらその辺の有名人より綺麗な顔立ちをしているのではないかと思った。
あなた

やることがあるのよーーー!!!

ジョンハン
ジョンハン
目覚ましましたか?
ホシ
ホシ
ほっとした〜
ウジ
ウジ
いきなり喋り始めた…
ジョシュア
ジョシュア
日本人ー?
奇声を上げていきなり目覚めた彼女は、可愛いと言うよりも美人な顔つきで少しドキッとしてしまった。

長い黒髪が少し乱れている。

看護師が日本語ができるらしく通訳をしてもらって彼女と話をした。

日本から仕事で韓国にきたこと。
またレコード会社に勤めている事。

それで楽譜を持っていたのかと俺は納得した。

ただ、彼女の話はあまり状況が良くなさそうだなと思った。会社のスタンスなのかは分からないが、あまりにも準備をしてなさすぎるなと少し呆れていた。

ホテルも取っていないからこれから探すという話をした時に何故かホシが宿舎に来ればいいなんて話をし始めて…

あなたは俺らの宿舎に来ることになった。
まぁどうでもいいかという気持ちがこの時は大きく、そのまま宿舎に連れて帰ることになったのだった。

*****

宿舎までの道のりを歩いている時、あなたは重そうにキャリーケースを引っ張っていた。
まだ身体が痛むのかあまりスムーズに歩けていないようだった。

ハニヒョンやジスヒョンも心配はしているが、流石の日本人と言ったところか…とても謙遜し持たなくていいと言う。

そんな姿を見るに見兼ねて言ってしまった。
ウジ
ウジ
持つよ
あなた

えっ!

彼女はビックリした顔をしたが、すぐに「ウジくん、カムサハムニダー」と言ってくれた。

彼女に名前を呼ばれお礼の言葉を伝えられただけなのに何故か凄く顔が熱くなるのを感じた。
ホシ
ホシ
ウジヤ〜かっこいいー
ウジ
ウジ
うるさい
ジョシュア
ジョシュア
あっ…ヌナ、めっちゃ笑ってる…!!
(かわいいーー!)
彼女の方を改めて見ると、さっきまでキリッとしていた目元が崩れ、とても朗らかに笑っていた。

とっても可愛い子だな…

素直にそう思った。
ジョンハン
ジョンハン
カワイイー!
(ウジみたいな笑い方するなぁ…)
ジョシュア
ジョシュア
ヌナ、カワイイヨー!
(ウジヤ、見てるみたいー!)
ホシ
ホシ
ウジヤ〜あなたヌナ、カワイイネ?
ウジ
ウジ
……
ジョンハン
ジョンハン
ウジヤ、照れてるの?(笑)
こいつらが俺に何を言わせたいのかもう分かってる、言えばいいんだろ?言えば!
ウジ
ウジ
…カワイイ、オモウ…ヨ、、?
恥ずかしくて死にそうだった。
もう口を聞かねぇと決め込む。

ジスヒョンやハニヒョンにはいじられたが、気づくともう宿舎の目の前だった。

これからどうなるんだよ…と呆れながらも、彼女が宿舎に来ることを少し楽しみにしている自分もいるような気がして何だかもどかしくなった。

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