飛行機自体は職業柄乗りなれていた為問題はなかったが…
韓国に今しがた着いたが、空港のロビーで早速悩む事になった。
行き先をあまり決めていなかったのだ…。半ばヤケクソで受け入れたこの仕事。
本当に現地に来たからと言ってアイドルを発掘なんて出来るのか…
私は日本で買ってきた旅行のガイドブックに目を通し、まずは地下鉄に乗って移動する事にした。
地下鉄の切符売り場はどうやら日本語もあるようで、問題なく切符は購入出来た。
全然意味のわからない言葉が飛び交っている中、1人で行動するのがここまで怖いものだとは思っていかなかった。
そこまでビビりでもなければ度胸はかなりある方だと思っていたが、異国の地に通じない言葉。かなり精神的にも窮屈さを感じた。
とりあえず恐らく私が向かおうとした所に地下鉄が停車したようだったので、私は電車を降り地上へと向かった。
結構混みあっているようで、何やらキャーキャー!と女性達が歓喜している声が聞こえる。
有名人でも居るんだろうか?ちょっと目線を向けるとかなりの女性の数がこちらに向かって押し寄せてきている。
というか、、ほぼ走っている?
有名人達を追いかけてこっちに向かってきている?
歩きずらい状況だったが、どデカいキャリーケースをゴロゴロ引きながら足を進めていたその時だった。
誰かに押された感覚と、遠くから誰かが叫ぶ声が聞こえたが、強く押されたのかバランスを崩し気づいた時には遅く私はとデカいキャリーと一緒に落ちる感覚を味わった。
階段から落ちているのが、途中で分かったが気づいた時にはもう激痛が走っていた。
あまりにも痛くて、誰かが声をかけてくれていた気がしたが、それ以降私の意識は遠のいていった。
*****
あぁ…韓国きた初日にこんな仕打ち。
ありえる?もう死ぬのかな…私の人生…終わった…。
走馬灯のように今までの記憶が頭の中でグルグルと駆け巡った。
私は何をしに韓国に来たの…?あのムカつく部長をギャフンと言わせるためじゃなかったっけ…?いいとこ取りされた憂さ晴らしをする為じゃなかったっけ…?
ダメだ。私はまだ…!!
自分が目覚めて今ここがベッドの上だということはすぐに理解出来たが、私のベッドの周りを囲う複数人の男性の顔には全く見覚えが無く、私は呆けるしかなかった。
みんな韓国語で話していて、何を会話しているのかひとつも理解が出来なかった。
どうなってるのよ…神様ー!
ここはもしかして天国なの!?
理解出来たことはただ1つ。
私が居るベッドの周りを囲んでいる男性達はそれはそれは美形でイケメンであるということ。
この子達…アイドルに興味あったりするかな…
私は呑気にそんな事を考えていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。