今私の隣にはいつも通りジョンハンくんとホシくんが座っている。そのまた隣にはドギョムとスングァンという、こちらも安定の面々だ。
好意を向けられていることは感じているが、付き合おうとは言われていないし、私もジフンの事を恋愛感情として好きなのかまだ分からないなと答えを出せないでいた。
一瞬でも想像してしまった自分が馬鹿だったと思った。一気に顔が熱くなるのが分かる。
それを見て4人がニヤニヤしているのも言うまでもなかった。
でももう皆から言われることは図星でしかなくて、自分が思っているよりもはるかに私はジフンの事が気になっていて、彼の才能に惚れ込んでいて、尚且つ一人の男性として意識しているんだなと思いさせられた。
ホシくんはテーブルの奥の方で戯れている他のメンバーにも聞こえるように話した。
プレゼントまで用意してくれてるのか…ありがたいなほんと…。
ジフンは紙袋を持って私の席まで来た。
それを見て私は立ち上がる。
私は綺麗にラッピングされた包装を解き、中から出てきた箱を開けた。
本当に幸せだなと思った。嬉しかった。こうしてみんなに誕生日を祝ってもらえるのが…
今までは気づいたら歳を重ねていた。
大体終電間際まで仕事をして、少し奮発していいお酒を買って家で一人で飲む程度だった。こんなに盛大に誕生日を祝ってもらうのは本当に久しぶりで、私は一人じゃないんだなと思った。
その言葉を皮切りに、誕生日会は幕を閉じ、みんなぞろぞろと宿舎へ戻っていく。
わざわざスタッフさんも車を回していたようで、メンバーは車に乗り込んでいく。
私は少し余韻に浸りたくて後でゆっくり帰ると伝えて、お店近くにあったベンチスペースに腰を下ろした、私はまた左手首のブレスレットに右手で触れた。
私はジフンの事が好き…?
音楽に一直線で男前ででも時に見せてくれる笑顔がとても可愛らしくて、一緒に居て楽しくて頼れる存在である。もしジフンが居なくなったら…?そんなの考えられない。
それだけ大事な存在になっていたんだ。ジフンの存在が。大事なんだ…好きなんだ…。
でも、好きになってしまったのだ。そんな相手を。
どうするんだ私…年下相手にこんな振り回されて大丈夫なんだろうか…?
いやいや全然大丈夫ではない、今だってこんなにドキドキしている。
どんな顔して宿舎に帰ればいいんだろうか…と考えている時、スマホに通知が来ていることに気づいた。
私は通話ボタンをタップし、スマホを耳に当てる。
私は何を話されるんだろうとドキドキしながら、プレディスの事務所へ向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。