遂にこの日が来た。
LiGHtのデビューの日が来たのだ。
昨日は今日のライブイベントのリハがあり、その時はまだそこまで実感がなかったが、遂に当日となると凄く緊張する。
それはメンバーも同じようで、6人全員が強ばった表示をしている。
もうすぐライブイベントが始まる時間だ。
メンバー6人と私で円を作る。
左手は隣の子の肩に置き、右手は前に出しみんなの手のひらが重なっていく。
今日という日が始まりの日になる。
この子達にとって最高の輝きを、そしてこの子達から沢山の笑顔をみんなに届けられるように。
開演時間になり、6人はステージへと足を進めた。
舞台袖からでも感じ取れるくらいの熱量で、私も凄く気持ちが高まった。
今から皆が、LiGHtの曲を聴くんだ。
私が作った大事な曲を。彼らの手によって紡がれていくんだ…。
グループ名に見合ったタイトルにしたいと思い、デビュー曲のタイトルは「A World With LiGHt〜光のある世界〜」にした。
これからその曲が披露される。
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表題曲を何事もなく歌い終え、会場の温度感は益々ヒートアップしていた。
ここから私は司会進行としてステージに立った。
いや本当は頼むはずだったのだ…外部の人に…
手違いがあったとかで手配されておらず…私が出る羽目になったのだ…。ほんと嫌だ…。
ただ彼らも日本語で全て聞き取れる訳では無いので、通訳も必要となると私しか適任者が居なかったのだ。
お客さんから振られて私はびっくりした。
ここに来てあの動画がネタになるとは思ってもいなかった…こんな所で私の自己紹介なんてしていいものなのか…
でも会場は気づけばザワついてしまっており…どう見ても言わないといけない雰囲気になってしまっていた。
楽曲フリをして私は舞台袖へと捌ける。
なんで私まで自己紹介してるんだか…
はぁ…と大きくため息をついたときにスマホのバイブが揺れたのに気づきそっとスマホを開いた。
ジョンハンからのカトクの通知だった
そういえばそうだった…このライブは先着順での限定ライブイベントなのだが、応募者がかなり多かった為、ライブ配信もすることにして今、動画サイトでも見れるんだった。
まさか…ジョンハンやジフンまで見てるとは…
「恥ずかしいから、私が出てたところは忘れて!」と返事を返した。
あっという間に2曲も終わり、ライブイベントは終了した。
その後メンバーとのハイタッチ会があり、あっという間にデビュー初日が過ぎてしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。