第56話

Flower53 【佐久間】
1,160
2021/03/13 10:27
大介 side

今日は、胸キュンボイス収録日。
佐久間大介
佐久間大介
おはようございま〜す
元気よく挨拶をして収録する部屋の扉を開ける。

中に居たのは、前回の収録の時にいたスタッフ。
佐久間大介
佐久間大介
今回もよろしくお願いします(^-^)
準備が終わるまで、自分が書いた台本を読み返す。

(スタッフ)佐久間さん
佐久間大介
佐久間大介
なんですか?
(スタッフ)前回の収録と少し変わってて。
      今回は、佐久間さんのセリフに対して
      相手のセリフがイヤホンから流れてき
      ます。
      話すタイミングが前回と少し違うので
      とりあえず収録して訂正していくか、
      一度相手の対応を聴いてから、収録す
      るか、どちらがいいですか?
佐久間大介
佐久間大介
俺が決めていいんですか?
(スタッフ)この収録が、佐久間さんが初めてなの
      で、佐久間さんのやりやすい方で、他
      のメンバーの方もやっていこうかと思
      ってます。
佐久間大介
佐久間大介
うわっ、それって俺、超重要じゃんヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3
そうは思ったけど、アフレコ経験のある俺としては、やるからにはしっかりやりたい。
佐久間大介
佐久間大介
じゃあ、一回聞かせてください♪( ´θ`)ノ
俺の言葉にスタッフさんが、ヘッドフォンを手渡してくれた。
受け取ると椅子に腰掛けて、それをつける。
台本を見ながら、スタッフさんに合図を送る。

セリフを追いながら、相手の声に耳を傾ける。

・・・・・・・・

1ページ目のやりとりが終わった頃、俺は何かに気がついた。
佐久間大介
佐久間大介
(この声って・・・)
そう思ってからは、ラストまではあっという間だった。

ヘッドフォンを外した俺にスタッフさんが問いかける。

(スタッフ)佐久間さん、間合いとか大丈夫そうですか?
佐久間大介
佐久間大介
えっ、あっ・・・。
5分だけ時間もらってもいいですか?
(スタッフ)分かりました。
      じゃあ、5分後に開始ということで。
      よろしくお願いします。


スタッフさんが離れてから、俺は再び台本に目を向ける。
佐久間大介
佐久間大介
(この相手は、あなたの名字さんだ)
セリフを追いながら、耳に残った彼女の声をたどる。

一緒に仕事をし始めてから、1ヶ月以上。
忘れるわけがない、僕に笑いかける彼女の声を・・・。



彼女がどんな風に笑って。
どんな風に言葉を紡ぐのか。
目を閉じると思い出せるほど、今は近い距離にいる。

そんな思いからか、その後の収録は自分で言うのもおかしいけど、驚く程順調に進んでいく。

俺は、彼女が隣にいるかのように、セリフをあてていった。

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