スタジオの外にあるカフェスペース。
コーヒーを飲みながら、台本を読み返す。
アフレコの様子を思い出しながら、ふと顔を上げると視界の先に彼女がいた。
手を挙げてこちらへと促した。
少しずつ距離が近づいてきているようで、最近では前よりも気軽に話せるようになってきている。
優しい眼差しでそう言ってくれる。
役と普段の彼女のギャップが日に日に増していってる。
そこに着実に惹かれてる俺がいて。
会う度に、心拍数が尋常じゃないくらい上がってるのを感じている。
…とはいえ、仕事をおろそかにするなんて、絶対にしちゃいけない。゜(´∩ω∩`)゜。
そんな強い思いが俺を後押しして。
最近は、彼女と一緒に仕事が出来ることをモチベーションに出来るようになってきている。
俺って、やっぱりすごいな(〃▽〃)
自分の価値観の変化に、思わず٩((灬∀灬))۶エヘッ*+と笑みをこぼしてしまった。
俺は照れくさくなって頭をかいてみせた。
そんな俺…未だに、彼女と連絡先の交換が出来ていない。
なんて一歩を踏み出せないまま、今日まで来てしまったのだった。
(マネージャー)佐久間くん!
問いかけを遮るように、マネージャーが声をかけてきた。
(マネージャー)お疲れ様。
あの【Snowdrop】のアニメ放送に
先駆けて、ラジオが決まったよ。
(マネージャー)そう(^-^)
パーソナリティは佐久間くんと、
あなたの名字さん。
詳細はまた後日で。
それだけ伝えとこうと思って。
これから別件があるから、僕は
いくね
足早に立ち去るマネージャーを見送り、再び2人になった。
そんな些細なやり取りがすごく嬉しかった(*゚▽゚)ノ
しばらくして、アフレコは再開され、収録は16時に終わりを迎えたのだった。
そして…今日もまた連絡先の交換は出来ない俺でした( ̄^ ̄゜)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。