季節外れの雪❄がひらひらと舞い落ちてきたその日。
歩道橋の真ん中で一人佇(たたず)む君は、
どこか儚(はかな)げで。
「あの子・・・泣いてる?」
居てもたってもいられなくて、無意識に走り出して。
でも、階段を駆け上がった頃には、蜃気楼のように消えていて。
夢でも見ていたかのように・・・君は消えてしまった。
気がつけば「夢なんだ」って割り切れてしまうほどに、俺の記憶の底へと落ちてしまっていたから。
だから・・・君を見つけるまでこんなにかかってしまったんだ。
俺は・・・ずっと会いたかったはずなのに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!