バタバタバタバタ・・・。
廊下を走る音がして、それはこちらに向かってきているようで、視線をあげればマネージャーが息を切らしてやってくるところだった。
(マネージャー)阿部くん、やっと見つけたよ
(マネージャー)そう・・・なんだ。
息を整えながら、そう応える。
(マネージャー)来週の予定で、・・・変更があって。
(マネージャー)そう。水曜日の夕方って仕事入ってなかったと思うんだけど、何か予定入れちゃった?
(マネージャー)それならよかった。佐久間くんのラジオに目黒くんと出てもらいたいんだけど。
(マネージャー)よかった。じゃあ、収録時間は後で連絡するから(^-^)
そんな俺たちの会話を聞いていたふっかが不満げに問いかけてきた。
(マネージャー)深澤くん、そんなこと言って(;^_^A
来週の水曜日の夕方は、河合くんのラジオに出ることになってるでしょ?
(マネージャー)深澤くんもこの後出ることになるから・・・。じゃあ、レコーディング頑張ってね。
マネージャーは言いたいことだけ言うと、慌ただしく入口へと向かって行った。
俺の呟きに、ふっかは笑って言う。
控え室に戻って少しして、ふっかたちはレコーディングへと入った。
それを見送りながら、俺はふっかに感謝した。
そう思いながら、俺はめめに声を掛けた。
俺とめめの話にひょっこりと覗き込むように問いかけてきたのは、ラウ。
机に突っ伏し、ジタバタするラウールの頭をめめが優しく撫でる。
そんなやり取りに、周りが気が付かない訳もなく、気がつけば、こーじも、照も、舘様も俺たちの元へとやってきた。
みんなの視線がラウへと集まる。
唇をとがらせながらそう口にしたラウールは、本当に幼子のようだった。
テーブルを挟むようにしゃがみ込んだこーじが、ラウールと視線を合わせてそう告げた。
ラウールの落ち込みようを見かねたこーじは自分のバックをガサガサとし始め・・・。
そして、厚みのある封筒を取り出した。
満面の笑みを浮かべ、目の前に並べられる写真を手に取るラウに引き寄せられるように、俺たちも写真へと目を向ける。
こーじの写真の腕はメンバー内でも定評があるほどで、テーブルに並べられた写真はどれも、驚く程に良い出来栄えのものばかりだった。
こーじの言葉にみんなに笑みがこぼれた頃。
めめが数枚の写真を手に取るのが、俺の目に止まった。
視線をあげれば、写真を見ながら幸せそうに微笑むめめが居て、その理由に惹かれた俺はめめに問いかけ、手元を覗き込んだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。