第70話

Flower66 【目黒③】
1,064
2021/03/09 21:43
こーじが連れてきたのは、海岸だった。
春がもうすぐとはいえ、やはり潮風は冷たい。
ラウール
ラウール
風が気持ちいい♪( ´▽`)
向井康二
向井康二
いい天気やし、絶好のシチュエーションや
こーじはカメラを手に早速シャッターを切り始めた。
俺の後ろを歩いていた彼女は浜辺に降りる階段で、ラウールたちを見ながら佇んでいた。

下から見上げる彼女はどこか寂しげで・・・。

俺はそっと近づいて、手を差し伸べた。
目黒蓮
目黒蓮
大丈夫?砂浜だから、降りづらい?
(なまえ)
あなた
いえ、大丈夫です(^-^)
目黒蓮
目黒蓮
手、かして
俺に言われるままに、彼女が伸ばした手をゆっくりと握り、そっと引いた。

ゆっくりと俺の胸元に落ちてくる彼女を抱き止める。
目黒蓮
目黒蓮
ごめん、大丈夫?
(なまえ)
あなた
あっ、はい。大丈夫です。ありがとう(*´﹀`*)
俺の胸元でゆっくりと顔をあげる彼女を見て、俺は忘れていた記憶を蘇らせた。
目黒蓮
目黒蓮
(電車の中で男の子と間違えた、あの時の子・・・?)
あの時に見かけた子と同じキャップ。
キャップの色は違ってるけど・・・。
髪もキャップの中にまとめているわけではないけど・・・。
でも、キャップ越しに俺を見上げたあの表情は確かに、さっき目にしたものと同じだった。
(なまえ)
あなた
あの・・・?
目黒蓮
目黒蓮
あっ、ごめん。
彼女をその場に立たせ直して、問いかけようとした時、それをラウが止めに入った。
ラウール
ラウール
めめ、何やってんの?(¬_¬)
どさくさに紛れて、あなたの名字さん抱きしめてるとかダメだよ(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)
目黒蓮
目黒蓮
別にそんなこと、してないけどσ^_^;
(なまえ)
あなた
あの、降ろしてもらったの。
階段が急だったから(^-^;💦
ラウール
ラウール
そっか。

あっ、あなたの名字さん、こーじくんが呼んでるからあっち行こう(^-^)

めめはここで待っててね。
俺をその場に残し、波打ち際で遊ぶラウールと彼女をこーじが色々な角度でシャッターを切っている。

側から見たら完全にカップルだ。

手を繋ぎ、笑い合う姿は、俺から見ても絵になる。
目黒蓮
目黒蓮
ラウの表情もすごく楽しそうだな
しばらくして、こーじが俺の元へやってきた。
向井康二
向井康二
めめ、ごめんな、退屈やろ
目黒蓮
目黒蓮
いや、結構楽しんでるよ。

あっ、こーじ、撮った写真、俺にも見せてくれる?
向井康二
向井康二
ええで(*´-`)
なかなかの出来栄えなんや。
こーじから見せてもらった写真の中の、ラウと彼女は俺がさっきまでここから見ていた表情よりも更に楽しそうな姿をしていた。
目黒蓮
目黒蓮
なんか、雑誌とかに載っててもおかしくないね、この写真は
向井康二
向井康二
ありがとう、めめ。
いつになくいい出来で、俺も満足や(*´꒳`*)
そんなこーじに俺は無意識にこう告げていた。
目黒蓮
目黒蓮
あのさ、俺と彼女の写真も撮ってくれない?
向井康二
向井康二
えっ?
どうしたん、めめ?
目黒蓮
目黒蓮
あっ、いや、ラウがあんまり楽しそうだから、俺も撮って欲しいな、って思ってさ。
向井康二
向井康二
別にかまへんけど・・・。
じゃあ、どこで撮る?

う〜ん。
カメラを首にかけて、腕組みするこーじにこの場所での撮影を提案してみた。
向井康二
向井康二
ここ?
目黒蓮
目黒蓮
うん。でも、バックの壁が白すぎて、やっぱり撮影しづらい?
向井康二
向井康二
そんなことはないけど。
俺に出来へんことはない(๑`・ᴗ・´๑)
こーじの闘志に火をつけることが出来た俺は、彼女との写真を撮ることが出来たのだった。
目黒蓮
目黒蓮
ごめんね、急に。

せっかく似合ってた帽子も、取らせることになっちゃって。
(なまえ)
あなた
いえ、上着羽織ってよかったですか?
目黒蓮
目黒蓮
さすがに冷えてきたからね。
こーじの支持を受け、彼女の後ろに立つ。
向井康二
向井康二
めめ、いい感じ。
あと軽く腕を回してみて。
目黒蓮
目黒蓮
こんな感じ?
向井康二
向井康二
そうそう。
向井康二
向井康二
あとはそうやなぁ、あなたの名字さん、ちょっとだけ顔を上げて、めめのことを見上げる感じで。
(なまえ)
あなた
あっ、はい
向井康二
向井康二
あっ、めめ。
そっと髪にキス、するみたいな感じで顔を近づけて
目黒蓮
目黒蓮
あぁ。
壊れ物を扱うかのように、彼女を包み込むと、戸惑った表情で俺を見つめる彼女がいた。

こーじの切るシャッター音に隠れて、俺たちだけの話をする。
(なまえ)
あなた
……目黒さん、あの……(〃▽〃)
目黒蓮
目黒蓮
ごめんね、もう少しで、終わるから。
(なまえ)
あなた
……はい(✿ꈍ。 ꈍ✿)ポッ
目黒蓮
目黒蓮
あっ、あなたの名字さん。
あのさ、その、聞いて欲しいことがあるんだけど。

この前、電車が事故で遅延になったこと無かった?
(なまえ)
あなた
えっ?

あっ、はい、この前一度だけ。
目黒蓮
目黒蓮
あの時、君の前に立ってたのは、俺なんだ。
あの時は君を人の波で潰されないようにする事でいっぱいで、君を気遣う余裕とかもなくて……ごめん
(なまえ)
あなた
いえ、あの時は本当に助かりました。
時間が無くてきちんとした挨拶もしないまま電車を降りてしまって、私の方こそごめんなさい(๐•̆ •̆๐)
探していた彼女との、再会が出来たことがただただ嬉しかった。

ラウが言っていたように、奇跡が起きたのだから。
目黒蓮
目黒蓮
あの時は、格好から、男の子だと勘違いしてて。
失礼なことばかり言っちゃって……あの後、ずっと謝りたくて。
(なまえ)
あなた
あっ、あれは、今度の舞台の役作りも兼ねて男装していたので、男の子に間違えて貰えるほどだったなら、嬉しいです(*'▽'*)♪
そういうことだったのか……。


彼女があの日男装していた理由と。
ずっと伝えたかった、詫びの言葉と。
俺の中で一気に消化されて……。


今、その相手が頬を赤く染めながら、俺の腕の中で俺を見上げている。

俺は微かに芽生える新たな気持ちに比例するように、回す腕に力を込め、そっと髪に口付けた。


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