涼太 side
久しぶりの全員でのダンスレッスン。
昼過ぎから、17時までをスタジオで過ごした。
休憩の度に、相変わらずのわちゃわちゃな雰囲気がそこにはあって、遠巻きに見ていても何だか和む光景だ。
佐久間とラウール、めめ・阿部のやりとりもまた
俺には微笑ましく感じた。
壁沿いに並ぶ椅子に腰掛けて、その様子を見ていた俺の隣に、そっと腰を下ろしたのは、翔太。
視界の先の佐久間たちに視線を向けながらそう呟いた。
翔太が差し出したのは一枚のチラシ。
ここ最近舞台とか行けてないからな。
そんなことを思いながら、チラシへと目を向けた。
確かどこかで・・・。
見覚えがあった。
どこで会ったんだったか・・・。
最近も見た気がするんだが。
翔太に悟られないように、話しを終わらせて、再び練習へと戻った。
そんな俺の疑問はそんなに時を経ずに解消されることになるのだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!