約半年ぶりの店。
主演が決まってからは有難く忙しくさせてもらって、全然店に行けてなかった。
mb「目黒様、いらっしゃいまし。」
mg「お亮います?」
mb「お亮、、浅黄格子ですね。こちらでございます。」
、、え?浅黄格子、、?
どういう事だろうか、、
通されたのはいつもの広間ではなく広く豪華だった。
遊女が何人か着いていて豪華な着物をきせられていた。
mg「お亮、、?」
ab「今は浅黄と申します。」
「お久しぶりです。蓮様。」
そう言ってニコッと微笑むお亮、、いや浅黄さん、?
ab「蓮様、主演を務められたのですね。」
mg「、、え?」
豪華な明かりや飾りに圧倒されていると主演のことを聞かれた。
ab「新聞が回ってまいったんです。」
mg「中々来られなくて、、ごめんなさい。」
ab「謝らないでください。」
mg「えっと、、浅黄、、さんはなにが?」
すると悲しそうな顔をしながら、横にいた遊女に声をかけた。
すると、すっと遊女達がいなくなり2人になる。
ab「私、、身請けが決まったんです。だから、一時的に格子に格上げさせていただいたんです。」
mg「身請け、、」
身請けされてしまえば触れることはもちろん会えなくなってしまう。
今まで頑張ってきたのはなんだったのか。
なんのために、、こんなことならあんなに頑張らなくてものんびり頑張って会う頻度を高めればよかった。
3ヶ月に1度でもいいから会いに来ればよかった。
そう後悔した。
そう思うほど俺はお亮に惚れていたのだ。
ab「私と心中していただけませんか」
ふいにお亮の顔が近くなって耳元でそう囁かれる。
mg「よろこんで。」
そう答える以外なかった。
お亮と居られないなら俺はなんのために生きているのか。
ab「ふふ笑 蓮様お約束ですよ?明日の晩裏口へ来てください。」
そして、ちゅっと軽く口吸いをされた。
次の日。
夜、師匠がみんなで飯でも行かないかと誘われたが、お断りさせていただいた。
俺は幸せになるんだ。きっと。
今から死にに行くというのにこんなにワクワクするのはどうしてだろうか。
時間通りバレないように裏口へ向かう。
天にいくのだからいちばん綺麗な着物を来てきた。
紺色に鮮やかな模様が描かれているもの。
すると、いつも帯を前に結んでいたのとは違い、しっかりと後ろに結び美しい少女がでてくる。
ab「蓮様、、?」
mg「浅黄姫、、」
ab「姫、、」
ポッと頬を赤らめる。
ab「お亮がいいです。」
mg「お亮、、行きましょうか。」
そう言うと2人で駆け出した。
目指すのは江戸でいちばん深い川。
しばらくすると俺らを探す声が聞こえてくる。
mb「どこへ行った!どんな手を使ってでも連れ戻せ!」
mg「人気者ですね。」
ab「私には蓮様だけでいいです。」
mg「もう、、お客じゃないんだから。」
ab「れーん」
首を傾げていたずらそうに微笑みそう呼ぶ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。