第11話

練習生(11)
193
2020/03/19 09:11 更新

「あなた~?」


あー、うるさいな。


さっきからずっと呼ぶし。


私が怒ってるのわかってるくせに、こういう時は頑固だ。


「あなた~???」


「うるさい‼


てか、なんで一週間もサボってんの?


こっちは色々あって押しつぶされそうなのに。


話し相手もいないんだからザボるなよ!」


「ごめんごめん」


また軽く言う。


本当は私を1人にしたことを怒ってるんじゃない。


ヒョンがレッスンを休むことなんてなかった。


だから、だからこそ胸騒ぎがして、


何かあったんじゃないかって、


もう会えないんじゃないかとか、


たくさん考えて。


考えに考えて、心配だった。


ヒョンが心配させるような行動をとるからいけないんだよ。


「あなた?」


久々に聞くヒョンの声に気が抜けた。


目の前が何かで濁って、ぼやけて、見えない。


ヒョンは黙って私を抱きしめた。


「ごめん」


重いごめん。


望んでたのに、なんだか申し訳なくて。


「ごめん」


私も言ってしまう。


なんであなたが謝るんだよってヒョンは笑って言った。


「ヒョン~」


今だけ私もヒョンを強く抱きしめる。


本当に最後かもしれないんだ。


こんな風に2人で練習室にいて、たくさんじゃないけど喋って、踊って、歌う。


楽しいしかいえないくらい楽しかった。


「また会えるからさ、心配すんな」


私を抱きしめたままヒョンは言った。


「うん。


ありがと」

プリ小説オーディオドラマ