「あなた~?」
あー、うるさいな。
さっきからずっと呼ぶし。
私が怒ってるのわかってるくせに、こういう時は頑固だ。
「あなた~???」
「うるさい‼
てか、なんで一週間もサボってんの?
こっちは色々あって押しつぶされそうなのに。
話し相手もいないんだからザボるなよ!」
「ごめんごめん」
また軽く言う。
本当は私を1人にしたことを怒ってるんじゃない。
ヒョンがレッスンを休むことなんてなかった。
だから、だからこそ胸騒ぎがして、
何かあったんじゃないかって、
もう会えないんじゃないかとか、
たくさん考えて。
考えに考えて、心配だった。
ヒョンが心配させるような行動をとるからいけないんだよ。
「あなた?」
久々に聞くヒョンの声に気が抜けた。
目の前が何かで濁って、ぼやけて、見えない。
ヒョンは黙って私を抱きしめた。
「ごめん」
重いごめん。
望んでたのに、なんだか申し訳なくて。
「ごめん」
私も言ってしまう。
なんであなたが謝るんだよってヒョンは笑って言った。
「ヒョン~」
今だけ私もヒョンを強く抱きしめる。
本当に最後かもしれないんだ。
こんな風に2人で練習室にいて、たくさんじゃないけど喋って、踊って、歌う。
楽しいしかいえないくらい楽しかった。
「また会えるからさ、心配すんな」
私を抱きしめたままヒョンは言った。
「うん。
ありがと」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。