第13話

現実
2,274
2020/12/20 15:21
(なまえ)
あなた
…?
さっきまで暗闇にいたのに、今私の目には見慣れた天井が映っている。
視線を動かすと、使い古したペンケース、少し消しカスの残る机。
ここは私の部屋。
戻ってきたんだ。あのよく分からないセカイから。
(なまえ)
あなた
良かった…
戻ってきた、というよりあれは夢だったんだろう。だって、あんな不思議な場所が実在するわけないから。
スマホを開いて時間を見ると7時5分。
いつもより少し遅い目覚め。私はいつの間にか寝てて、夢を見てただけ。
セカイなんて場所、あるはずがない。
(なまえ)
あなた
よし、学校行くかー…
と、一つ大きなため息を吐きベッドから降りた。



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学校
ねぇねぇこれ聴いてみて!私のお気に入りなんだけど
え、すっごい良いじゃん!
でしょ?あと、これも…
クラスメイトがボカロの話をしているのが聞こえてきた。私はボカロ大好きだから話に入りたい…
とか思ってはいない。一人で好きな曲でも聴いていた方がいい。その方が疲れなくて済む。
寂しい?そんなことはない…はず。
みのり
みのり
あれ、雨埼さん、もしかして今聴いてるのってボカロ…?
(なまえ)
あなた
えっ…
あぁ、うん
みのり
みのり
そうなんだ!私もボカロ好きなの。気が合いそうだね!
(なまえ)
あなた
そ、そうだね
驚いた。突然話しかけてくるもんだから若干声が裏返ったし。
ってか、いつも独りの私に話しかけてくるなんて変わってるなー…
こはね
こはね
ねぇ、みのりちゃんどうしたの?なんか目がキラキラしてるけど…
みのり
みのり
あっ、こはねちゃん!あのね、雨埼さんもボカロが好きなんだって!
こはね
こはね
そ、そうなの?
(なまえ)
あなた
あ、うん
こはね
こはね
そうなんだ!ボカロって良いよね〜
みのり
みのり
だよね〜
と、なんやかんやあってチャイムがなったので会話終了。
まだ心臓がバクバクしてる。まさか話しかけられるなんて思ってなかった。
それくらい、いままで独りだったから…

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