さっきまで暗闇にいたのに、今私の目には見慣れた天井が映っている。
視線を動かすと、使い古したペンケース、少し消しカスの残る机。
ここは私の部屋。
戻ってきたんだ。あのよく分からないセカイから。
戻ってきた、というよりあれは夢だったんだろう。だって、あんな不思議な場所が実在するわけないから。
スマホを開いて時間を見ると7時5分。
いつもより少し遅い目覚め。私はいつの間にか寝てて、夢を見てただけ。
セカイなんて場所、あるはずがない。
と、一つ大きなため息を吐きベッドから降りた。
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学校
クラスメイトがボカロの話をしているのが聞こえてきた。私はボカロ大好きだから話に入りたい…
とか思ってはいない。一人で好きな曲でも聴いていた方がいい。その方が疲れなくて済む。
寂しい?そんなことはない…はず。
驚いた。突然話しかけてくるもんだから若干声が裏返ったし。
ってか、いつも独りの私に話しかけてくるなんて変わってるなー…
と、なんやかんやあってチャイムがなったので会話終了。
まだ心臓がバクバクしてる。まさか話しかけられるなんて思ってなかった。
それくらい、いままで独りだったから…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。