突如、視界が揺れる。
これは何だ?地震か、セカイにも地震なんてあるのか。
暗転。
かと思えば次の瞬間には既に、セカイには私とミクしかいなかった。
どうしよう。
みんな、どこに行ったの?
せめてあの時、驚いて突っ立ってないで逃げるなり助けるなりしてたら良かったのに。
揺れが来た時、私は棒立ち状態だった。状況が読めなかったのだ。
それで、こんなことになって…
私はどうせ、無力だ。
物語で言うところのモブとか、そういう存在。
探しに行こうって言ったって、そう簡単に見つかれば苦労しない。
夢だってなんだって上手くいかないものだ。
それで、諦めることもある。
どうせ今回もそのパターン。モブがどう足掻こうが、所詮物語が上手く動くことなんてない。
みんな、何処かに行ってしまったのだ。
セカイは再構築されたかのように綺麗だ。
残骸の一つも無い。
何をするでもなくセカイを見渡していると、ある割れ目を発見した。
キラキラの、割れ目。
気になって、近づいてみる。
すると。
割れ目が大きく開き、私は吸い込まれていった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。