どこまでが現実で、どこまでが夢だったんだろう。そもそも、これは現実なのか?
確かなのは、私がステージでみんなと歌を歌ったこと。それが楽しかったこと。そして…
一瞬で、自分の中の何かが消えるような感覚があったこと。
それだけだ。
今、私は教室にいる。
そう、ただの教室じゃない。楽器が置かれた、教室の「セカイ」だ。
本当に、さっきのステージでの出来事は夢なんじゃないかと…
だって瞬きくらい一瞬だったから。場面が変わるのが。
どうやらさっきのは現実らしい。
となるとやっぱり全部夢じゃないのか?
現実?本当に起こったこと?
あれだけ場面転換が早いと頭が着いていけなくなってしまう。
どうにかして、落ち着かないと。
想いが消えたのには心当たりがある。ここに移動する時の、何かが消える感覚。あれだ。
あれで、私の何らかの想いが消えたんだろう。
アイドルに対する想いは消えてないし、他に強い想いは思い当たらない。
なんだろう、あの暗いセカイを作っていたのなら、結構暗い感情…?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。