あの日のキミへ―
まだまだ肌寒い。もう3月。卒業シーズンだ。
目の前には俺の母高があって今は昼休みの時間だろうか、楽しそうな声が聞こえてくる。
俺はもう高校を卒業して3年が経った。
地元を離れて就職するため引っ越しの荷造りをしている。
高校から住んでいるこの家にある荷物は多過ぎる...
次から次へと出てくる漫画の数々。
もう読まないものは売って引っ越しのお金に回そうと思っている。
もちろん親からも仕送りが来ると思うが。
しばらく片付けをして一番下の段を片付けていたときだった
ペラペラとページをめくっていくと一番最後のページに寄せ書きがあった。
『いつかおまえの身長を超えてやる! by神』
学年一身長の低かった孝太だろう。俺は身長が185cmあり、孝太は鯖読んで160cm。
成人式であった時2cmしか伸びていなかった。
『楽しかったよ。お互いこれからも頑張ろうね!本当にありがとう 心華』
懐かしい。中学2年〜高校卒業まで付き合っていた。これでこのはと読む。
お互和解しての別れだったから悔いはない。
そして端の方に書かれたものを見つけた。
『これからは離れ離れだけど飯、誘ってな。こんなに仲良くできた友が悠馬だった事。
嬉しかったぜ!ありがとな。夏月』
夏月...
なんでこんな時に見つけちまったんだろ...
命日...来月だったよな...
なんでいきなりいなくなるんだよ。
なんで死んだんだよ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!