『ふわぁ ……… 』
私しかいない教室はなんだか開放感を感じる 。
放課後はみんなデートだとか 。
そんなの私からしたらほど遠い 。
というか 、どうでもいい 。
『はぁ 、』
小さくため息をついて 、問題集に向き直る 。
受験生の私には時間がそれほどない 。
頭が良くない私は学校の授業だけで精一杯なのに 。
それプラス受験勉強なんて 。
『えっと 、これは ……… 』
あぁ 、もう 。
全くわかんない 。
『いいや』
問題集をもう一度放り投げて 、窓に近寄る 。
外はたくさんの運動部がいて 。
たまに香る 、汗の匂い 。
私はこの匂いが嫌いだ 。
ぼんやりと外を眺めていると 、誰かと目が合った 。
『 ……… ん ?』
顔が見えないぞお 。(
めがねめがね ………((
鞄の中から 、真新しいメガネケースを取り出す 。
『あのひとは …… えと 、誰だっけ』←
いや〜見たことある顔なんだけど ……
思い出せないわ ()
ふと教科書に目を移すと 。
ヘイヤ
"平野"
『あーー !!!!』
あ 、やべっ 。
声出しすぎたわ 。(
彼は …… 平野くん 。
二つ下の後輩 。
完璧なルックスで 、学校中の女子から人気 。
…………… 私をのぞいて 。
あんなやつのどこがいいの ?
____翌日____
いつも通り 、教室で勉強していると 。
「あなた先輩 !」
『あ 、』
綺麗に整った顔に 、ハスキーボイス 。
『……… 平野くん』
紫耀「先輩 !今日一緒に帰りましょ !!」
『は ?』
え 、なにこのひと 。(
初めて話して 、二言目がこれ ?
『私はひとりで帰るから』
平野くんの横を通り過ぎようとすると 。
紫耀「(ガシッ
先輩 、待ってください」
平野くんの腕に捕まった 。
『 ……… なによ』
平野くん少し耳を赤くして 、真剣な顔で言った 。
紫耀「俺 、先輩のことが好きです !」
これって 、告白 ……… ?
まさか 。
こんな私を好きになる要素なんてひとつもない 。
『ど 、どうせ罰ゲームとかでしょ ?
じゃなかったら 、告白してくるわけないもの』
紫耀「そんなんじゃ 、ないです
俺は 、本気で先輩のことが好きなんです」
『そんなことありえないから 。じゃあね』
私は平野くんを振り払って 、歩き出した 。
紫耀「俺 、諦めませんから !!!」
そんな言葉が 、聞こえてきたのを覚えてる 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!