第89話
🎴
ごめんなさい……ワガママで…
ギュッ…
私は目を隠されて状況を理解するのに精一杯で
思考が追いつかなかった…
聞きなれた私の大好きな声…
安心出来る私の大好きなこの感触…
今にも泣きそうで消えてしまいそうな
か細い「ごめん」のセリフ…
どうして…
帰ったんじゃなかったの…
先生に呼ばれてたんじゃないの…
なんで私が泣いてる時に来るの…
そういうと、飛雄は目を覆っていた手を外して
私の正面に来て向き合ってくれた…
なんでそんなこと今更聞くの…
そんなの、無理に決まってんじゃん…
大好きだよ…愛してるよ…
許されるならまたやり直したい…
聞きたい…
「飛雄は?」って…
でも怖い…
だって、あんな酷いこと言ったんだもん…
嫌われて当然だ…
そういってまた抱きしめてくれた…
やっぱり大好きなこの感触…
私が知ってる安心できる場所…
私は泣きながら何度も謝った
そんなこと思ってたなんて知らなかった…
私、ほんと最低だ…
そう思うと余計に涙が止まらなくて…
ただ泣くことしか出来なかった…
何を言われるのか不安だった私は
飛雄を見つめた…