その後私達もお店を出て家に帰った
ベッドに背をもたれながらそんな会話をする
風夏ちゃんあんな風に思っていたんだ
初めて本音を聞けた気がする
救いたいとか言ったのに
結局逃げてしまった
泣きそうになるのを何とか堪える
次の瞬間私の携帯が鳴った
誰だろう
画面を開くとそこには風夏ちゃんからメールが1件届いていた
警察に相談しました、ありがとう
私はすぐさま駆に伝える
本当によかった
これでもう風夏ちゃんは辛い思いせずに済むんだ
興奮して手の震えが止まらない
ここまで付き合ってくれた駆にもお礼を言わないと
その瞬間
唇が重なり合った
私はそのまま後ろに押し倒される
その言葉に自然と涙が零れた
ずっと伝えたかったけれど言ってしまったら嫌われてしまうんじゃないかと思っていた
再び唇が重なり合う
視界が駆でいっぱいだ
それからゆっくりと離れ駆は顔を上げる
優しく愛おしそうに私のことを見つめていた
ああ、私馬鹿だ
1人でずっと悩んでいて
そうだよ駆はずっと私のことを思ってくれていた
どんな時でも気づいたら駆がそばにいてくれて
この話題も私が気にしないように避けてくれてたんだ
見つめ合った後私達は再び唇を重ね合った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!