そうは思ったものの
廊下を歩いてるだけでも沢山の視線で殺されそうだった
よかった自覚していたんだ
私だけかと思って存在を消すことしか頭になかったよ
突然角から女の子3人が現れた
私は小さい声で耳打ちをする
先輩って呼んでるから後輩の子達なのかな
なるほど駆のファンの子達か
噂を聞きつけ本人に確認しにきたのかな
3人の顔を見ると真っ直ぐな表情で駆を見ていた
そう聞いた瞬間明らかにショックを受けているのがこちらにも伝わってくる
その言葉を言い残し彼女達は走っていってしまった
駆ってものすごいモテるんだな
モテるとは思ってたけど想像以上でびっくりした
遥くんがこの前言ってた意味がわかったよ
このまま視線を浴び続けたら身が持たない気がする
そんなこんなで何とか空き教室にきた
窓から覗き込むと校庭では屋台やライブで賑わっている
駆も続いて校庭を覗く
手錠をしているせいか、いつもより距離が近い
少し外の歓声を聞いてから私は口を開いた
突然こんなこと聞いてびっくりしたかな
今日来てみてわかったけど学校生活充実してそうだし
可愛くて歳の近い子が周りにいっぱいいるのに
どうして私なんだろう
合コン行ったあと駆の顔が浮かび後先考えずに家まで会いに行ったときだ
今考えてもあの時はどうかしてた
そんなこと思ってくれてたんだ
急に恥ずかしくなり私は反対方向を向く
駆は私の顔を覗き込むようにこちらを見る
多分今の私顔真っ赤だ
それでも駆はまだこちらを見続けている
私はパッと振り向き駆の肩にもたれかかる
外のライブは終盤に差し掛かろうとしている
もうすぐこの時間も終わっちゃうな
少し寂しいけれど私の気持ちは幸せでいっぱいだった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!