どこから来たかわからない子猫がこちらをじっと見つめている
私はその場に座り込んだ
この3日間まさか猫に怯えながら暮らしてたなんて
一気に安心が込み上げてきて足に力が入らなくなった
顎を撫でられて気持ちいいのか子猫は尻尾を振っている
そうは言ってもミルクぐらいしかない
それでもこのぐらいお腹に入れた方がマシか
小皿にミルクを注ぎ、玄関に置くと勢いよく飲み始めた
見るからに首輪はしていないしもし飼っていたとしたら今頃探しているはず
こんなにお腹を空かせた姿を見たら放ってほけない
それにここで見て見ぬふりしたらもっと遠くに行ってしまって危険な目にあうかもしれないし
そうだった、忘れてた
大家さんに目つけられないようにしないと
駆がそんなこと言ってくれるとは思わなかった
それに高校生にそんな負担掛けられないし
そんなこんなで飼い主が見つかる期間、私がお世話をすることになった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!