あれから何時間経ったんだろう
既に視界がぼやけていて意識が飛びそうだ
どうしよう調子乗って飲みすぎた
死にそうな私の横で風夏ちゃんは元気に誰かに手招きをしている
え、なんでここに駆が
これ多分幻だ
駆がこんなところ来るはずがないもん
2人の会話がぼんやり聞こえる
ふらつきながらも駆の肩を借りて何とか立つ
その瞬間
駆と風夏ちゃんの唇が重なり合った
嘘でしょ
今何が起こったの
確か駆が振り返った時に…
その瞬間だけやけにスローモーションに見えた
やっぱりこれ幻なんだ
信じたくなくても今まで聞いたことのない駆の声の冷たさでこれが現実なんだと思い知らされる
風夏ちゃんの腕を掴み上げている駆に私は止めに入る
そこ痣があるところだ
強く掴んでいなくてもきっと痛むだろう
そう言い放ち、私達はお店を後にした
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。