明らかに嫌そうな顔をしながら部屋から出てきた
ドアを閉めようとしたその瞬間、恵美が足を掛け私達は無理やり部屋に入った
私は思い切り飛び込んだ
フカフカしていて気持ちいい
2人の会話が聞こえてくる
恵美の声が段々と遠のいていく
ゆっくり瞼が閉じていき、そこで私の意識が無くなった
.
スズメの泣き声で目が覚める
あれ、見慣れない天井だ
周りを見渡すと見たことがない家具で有り余っている
一緒にお酒飲んでそれから…
そこで一瞬にして記憶が蘇ってきた
私は急いでリビングへ向かう
やっぱり
ソファで寝ていて揺さぶってみるが起きそうにない
手先が髪の毛に触れた
ほのかにシャンプーの匂いがする
よく見たら女子よりまつ毛長いな
まじまじと顔を見ていると駆が目を覚まし、数秒間見つめあってしまった
なぜだろう
私はその目を逸らせないでいた
駆の声にハッとなり急いで体制を整える
思い出しても申し訳なさが有り余ってくる
高校生の前でなにやってんだ私
そう言い起き上がるとキッチンの方へ向かっていった
受け取り飲むと二日酔いの気持ち悪さが浄化していく
やっぱり根は優しいやつなんだな
言葉は素っ気なく聞こえるけれどちゃんと周りのことを見てくれている
いまいちまだ掴めない性格
そんな事を考えていると突然リビングのドアが開いた
朝からあのテンションは凄いな
確かに恵美は酔いつぶれたらどこでも雑魚寝してしまうほどの経験がある
そう考えたら今日が初めてかもしれない
そう言われたら朝の出来事は口が裂けても言えない
あんたの弟のベッドで酔いつぶれたなんて言ったらどんな顔をするだろう
その一言でその場の空気が一瞬で止まった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。